2024年 春合宿B 奥穂高岳・北穂高岳


【メンバー】
CL/渉外:アジータ、SL/食当:なおみ、装備/食当:ターコ、訓練/気象:まこ、配車/記録:まっさん(記)
【天候】
4/27:曇り 4/28:快晴 4/29:晴れのち曇り
【行程】
1日目 8:10上高地~10:00徳沢~11:10横尾~15:20涸沢テント場
2日目 5:10涸沢テント場~8:00穂高岳山荘~9:30奥穂高岳~11:00穂高岳山荘~13:00涸沢テント場
3日目 4:00涸沢テント場~7:00北穂高岳~9:50涸沢テント場~13:20横尾~14:30徳沢~16:50上高地

<1日目>
朝4時に名古屋を出発し、アカンダナ駐車場に到着後、7:20発の上高地行きのバスに丁度良く乗車できた。上高地に到着すると小雨が降っていたが、歩き始めるといつの間にか雨は止んでいた。河童橋で出発時の集合写真を撮ってもらい、いよいよ合宿スタート。遊歩道脇には雪解け後の花や山菜が芽吹き始めたばかりで、春の訪れを感じることができた。徳澤に向かう途中で牧場のような匂いがして、後日(下山時)に分かったことだが、8時頃徳沢入口でツキノワグマ1頭の目撃情報があったようだ。

上高地から横尾までは雪は無く、本谷橋手前から雪が付き始め、橋を渡った河原のスペースでアイゼンを装着した。アイゼンを装着中に同志会の別パーティ3名が後から登ってきて偶然合流することができた。
涸沢のテント場に到着すると、雪崩のデブリが周辺に広範囲に堆積しているのを見て、雪崩の巣であることを実感した。GW初日のため限られたスペースにかなりのテント(約50張)が既に張られており、何とか6テンを張るスペースを見つけて、傾斜のある凹凸の雪面を平らにするのに苦労したが、無事に設営することができた。水場は水が豊富にあり無料で使用できたので、すぐに夕食の準備を始めることができた。夕食の坦々ごま鍋は豚肉と野菜がたっぷりでメンバーで美味しく頂いた。翌朝は3時起床のため8時に就寝した。

<2日目>
朝3時に起床し、5時出発時は既に明るくなっていた。涸沢カールの雪のステップを登っていくと、トレースがザイテングラードの右側と左側の両方にあったが、今回は計画通り左側の小豆沢を直登することにした。左側には吊尾根と前穂北尾根の稜線が目線と同じくらいの高さにあり迫力があった。後ろを振り返ると涸沢のテン場のテントが米粒のようだった。上部に行くほど急傾斜となり、アイゼンの爪を効かせながら登っていくと次第に稜線が近づき、急斜面を登りきった所が白出乗越で小屋明け真っ最中の穂高岳山荘に着いた。

山荘前で休憩後、ハシゴを登り雪稜に取り付くとすぐに核心部である長い雪壁が現れた。雪のステップがあったので登りやすくなっていたが、ピッケルとアイゼンの前爪を刺して慎重に登った。下りで雪が緩むと滑落のリスクが高い危険な箇所であり、上りと下りのパーティが合流すると渋滞となるポイントであった。
その後は短い雪壁を乗り超えると程なくして山頂に到着した。山頂からはジャンダルムが目前にあり、槍ヶ岳を含む日本アルプス(北・中央・南)のほぼ全てを一望することができ、最高の景色を見ることができた。
山頂で休憩しているとBCスキーの方がソロで岳沢方面へドロップする瞬間を間近で見ることができ、BCスキーを始めたばかりの自分にとっては奥穂山頂からの滑走シーンは大変衝撃を受けた。

下りでは雪が緩んできたので、往路と同じルートで雪壁はクライムダウンで慎重に下りた。穂高岳山荘まで戻ってきた後、下りてきた雪壁を見上げると、足を滑らすと命取りとなる大変危険な箇所であったと改めて感じた。山荘前での休憩時には売店で購入したコーラが美味しかった。
休憩後は白出乗越からの下り始めの急斜面を慎重に下りていき、傾斜が緩やかになった所でメンバーの1人がシリセードで滑り下りて行った。後にハードシェルの内側に大量の雪が入り込んでしまい、取り除くのに苦労していたようだった(笑)

涸沢のテント場まで無事に到着し、テント周辺で休憩していたところ、13時過ぎに轟音と共に北穂沢で雪崩が発生し、土砂を巻き込んで茶色の大きな雪のブロックが流されている瞬間を目撃した。この時期は常に雪崩の危険と隣り合わせであることを思い知ることになった。
雪崩が収まった後は涸沢ヒュッテのテラスで穂高の稜線を見上げながら飲んだ生ビールとおでんの組み合わせが美味しかった。夕食のクリームパスタはプチトマトとチーズのトッピングが相性抜群で、皆で美味しく頂いた。翌朝は2時起床のため、まだ外は明るい中18時に就寝した。

<3日目>
2時に起床し、日の出前の暗い中でヘッドランプを点けて4時に出発した。前日に発生した北穂沢の雪崩デブリの横を通り、山頂までひたすら続く単調な雪壁を登り続けた。途中で鳥の鳴き声がした方向に視線を向けると2羽の雷鳥がいて、風に煽られながら急斜面を素早く歩いて登っている光景が可愛らしかった。

中腹まで登って振り返ると涸沢カールを挟んで向かい側の前穂高岳北尾根が一望でき、5・6のコルあたりでかすかに2本の縦線が見えたので、同志会の別パーティ2名だと思い、自分達も頑張ろうという気持ちになった。北穂沢上部まで登っていくと雪崩の痕跡(断層、クラック)がいたるところで確認でき、次の雪崩ブロックが今にも落ちてきそうな状態であった。

北穂沢の最後の急斜面を登り切った所で小休憩し、山頂までの最後の岩場を乗り越えると、北穂山頂に到着した。山頂では快晴の青空と槍ヶ岳をバックに最高の集合写真を撮ることができた。北穂高小屋のテラスで休憩し、槍ヶ岳を見ながら贅沢な時間を過ごすことができた。

下りでは北穂沢上部の急斜面を慎重に下り、傾斜が緩くなってからは各自で歩きやすいところを選んで下りた。涸沢カールを見下ろすと四方八方から雪崩のデブリが集約しており雪崩の巣であることが確認できた。北穂沢下部まで下りてきたところで、メンバーの1人が雪の深いところで踏み抜いて足の付け根まで埋まってしまい、身動きが取れなくなっていたので、メンバーで協力して救出する場面があった。こういうピンチの時に助け合える仲間がいるのは心強い。

前日の午後に発生した雪崩デブリの横を速やかに通り過ぎると無事にテント場に戻ってきた。時間に余裕があれば昼食に涸沢ヒュッテのカレーを食べたいと思っていたが、テント撤収を終えると帰りのバス(上高地発の最終便)の時間に余裕がないことが分かり、止む無くそのまま下山することにした。

横尾で小休憩し、徳澤でソフトクリームを食べる時間は確保できた。徳澤から明神への遊歩道沿いを歩いている野生の猿の群れが現れ、人が近づいても逃げることなく人馴れしているようだった。猿も普通に遊歩道を歩いており、至近距離で通り過ぎる時は緊張感があった。明神で小休憩し、上高地には最終バスの1本前の時間に無事に到着することができた。

今回の合宿を成功させることができたのは、残雪期の訓練山行(甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根、西穂高岳、五竜岳、宝剣岳)を十分に行い、CLアジータはじめメンバー全員が自分の役割を果たし、協力し合えたからであると思います。メンバーの皆さんに感謝します。

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