錫杖岳 / 見張り塔からずっと(下半) & 注文の多い料理店


錫杖岳 / 見張り塔からずっと(下半) & 注文の多い料理店

自主山行

【日程】2016年11月12日(土) ~ 13日(日)

【メンバー】gigi(CL)、ゆきむし(記)

【コースタイム】
[11月12日]
中尾高原口駐車場 6:00
錫杖沢の岩屋 8:30/9:20
「見張り塔からずっと」取り付き 10:05/10:30
大洞穴の直下 15:15
錫杖沢の岩屋 17:20

[11月13日]
錫杖沢の岩屋 8:20
「注文の多い料理店」取り付き 9:00/9:20
5ピッチ目終了(左方カンテと合流) 13:00
7ピッチ目終了(完登) 14:10
懸垂下降開始 14:40
懸垂下降完了 16:00
錫杖沢の岩屋 16:30/17:00
中尾高原口駐車場 18:30

 

11月12日「見張り塔からずっと(下半)」

錫杖岳本峰へ登り詰めるマルチピッチルート「見張り塔からずっと」を秋に登ろう、という話を始めたのは今年の春先のこと。本当はもう少し早い時期にと思っていたが、諸々の都合により秋も深まりに深まっての決行になった。

名古屋を前夜発し、中尾高原口駐車場で仮眠後に入山。この時期ともなると6時頃はまだ暗い。曇り空のせいか心配していたほど寒くはなかった。

錫杖沢出合から踏み跡を登り、岩屋に。テント設営後、取り付きに出掛ける準備をする間、暖かい陽の光を待っていたが、なかなか雲が取れない。晴れの予報だったんだけどなあ…。

時折風が吹くと寒く、やる気が上がらず岩屋でモタモタ。が、じっとしていてもしょうがないので取り付きへ出発。
北沢を詰めると、幅広クラックにチョックストーンが2個挟まった場所に行き当たる。その直下が「見張り塔からずっと」の取り付き。登攀準備をしている間にようやく青空が広がってきた。

1ピッチ目:gigi
北沢右岸をテキトーに登るという感じ。傾斜がゆるく難しくはない。40mほどロープを伸ばし、リングボルト2個の支点でピッチを切った。

2ピッチ目:ゆきむし
左上スラブ~凹角右のカンテを登り、最後は緩傾斜の歩き。3本ほど打たれたハーケンは無視して通り過ぎ、カムで支点構築してピッチを切った。50mロープぎりぎり。

3ピッチ目:gigi
左上に一段上がった後、そのままスラブを登るのが通常のようだが、前日の雨による水流でスラブはビチャビチャに濡れていた。一方、こちらも水流があるが、北沢本流を登る方がガバが多くてまだマシだった。クライミングシューズで沢登り気分。40m弱で残置支点へ。

4ピッチ目:ゆきむし
先ほど避けたスラブの右端に沿ってトラバース。乾いていれば全然難しくないが、濡れていて怖かった。右に回り込んで草付きに上がり、50m伸ばし切った。残置はないのでカムを支点にしてピッチを切った。

5ピッチ目:gigi
草付き~傾斜の緩い岩場。このピッチも乾いていれば全く簡単なはずだが、草付きも岩も濡れていて悪いこと悪いこと。この辺りでは日陰に入り、ブルブル震える程に寒かった。ほぼ50m伸ばし切り、岩角にスリングを引っ掛けたプアプロテクションでピッチを切った。

6ピッチ目:ゆきむし
中央稜の尾根筋に上がり傾斜が緩くなる。確保なしでもOKだが、そのままロープを引いてゴツゴツした岩がある場所まで歩いた。

以上、全ピッチとも残置中間支点はほぼ無し。カムはキャメロットを0.1~3を1セット持参した。

ロープを解き、しばらく歩行となる。中央稜を最上部で乗り越し、トラバースで大洞穴の真下へ。

このまま継続すれば、核心である7ピッチ目となり、大洞穴の左側を登ることになるのだが…この時点で既に15時過ぎ。日没の早さを考慮して、残念だが見張り塔の後半は諦めることに。ということで、途中撤退して右俣を下り、岩屋のテントへ戻った。

 

11月13日「注文の多い料理店」

寝坊して7時前の目覚め。この日は朝から快晴で暖かく、最高の山日和となった。
前日と同じく北沢を登り詰め、「見張り塔」取り付きのすぐ手前が「注文」の取り付きとなる。

1ピッチ目(IV):gigi
さてそろそろ登ろうかという頃に、ようやく岩肌に陽が当たり始めた。結果的に寝坊してちょうど良かったってことか。
凹角沿いに岩の弱点をついて登る。難しくないが、終了点テラスに登り上げる所がちょっと悪い。

2ピッチ目(5.8):ゆきむし
左上クラックは体を外側に出して登ると良いと思っていたが、やってみると結構怖い。所々で馬乗りになってみた。ホールド豊富な垂壁を少し上がると「枯れ木テラス」へ。

3ピッチ目(5.9):gigi
離陸してすぐ上のルーフ状フレーク越えが核心。左側の凹角に入り込みすぎると、頭上がつかえるしフレークに手が届かないし、リードのgigiは苦労していた。思い切って凹角外側に体を出し、左右の壁の細かいフットホールドを丁寧に拾っていくと良いのだが、怖くてなかなか思い切れない。キャメ3と4をフレークと壁の間に噛ませて固め取りし、腕のパワー一発でフレークを掴んで上がると核心をクリア。その上のクラック沿いは、落ち着いて足を拾っていけばOK。薄被りのフレークを乗り越すと「お地蔵テラス」に到着。

4ピッチ目(5.8):ゆきむし
スタートしてすぐのハング下でキャメ5をセット。今回「注文」にはキャメ0.4~4を2セット、キャメ5を1本用意したが、キャメ5が本当に必要だったのは、ここ1ヶ所のみだった。ランナウトが気にならなければ、キャメ5は省略して良いと思う。
その上のクラックはレストポイントが多く、とても快適。
核心は終了点の手前で、クラックから右トラバースするところ。掛かりの甘いアンダーホールドを両手で掴み、右に体を乗り出すのがスリリングだった。

5ピッチ目(5.8):gigi
2本のクラックが縦に並んだ中間部が楽しかった。実は右クラック内部にもホールドは多く、いろんな登り方ができると思う。今回は左クラックにフィンガージャムしてみたら、バチ決まりして気持ち良かった。
上部はランナウト気味にスラブを登り、このピッチの終了点で「左方カンテルート」と合流する。

6ピッチ目(IV):ゆきむし
これより上は左方カンテと共通ルートとなる。クライミング的には易しくオマケみたいなものだけど、天気も最高だしせっかくなので、今回は烏帽子岩直下の平坦地まで完登することにした。
出だしのスラブは風化が進んでいて、今にも剥離しそうでちょっと怖いのは相変わらず。

7ピッチ目(II):gigi
15mほどロープを伸ばし、ちょっと登ると終了。
平坦地からの景色は最高。雪化粧した槍穂高の眺め、ずっと見ていたかった。

懸垂5回で「注文」の取り付きへ下り着いた。
岩屋へ戻りテント撤収。予定より遅くなったので足早に下山した。

いつもは渋滞になるほど人気の錫杖の岩場だが、適期を外したおかげで今回は2日間とも我々だけで独占。ただ、いくら空いているとはいっても、さすがに時期が遅すぎたなあ。日は短いし、やっぱり寒かった。

1日目は冒険っぽい「見張り塔からずっと」、2日目はスポーツマルチの「注文の多い料理店」。全くキャラの違う2ルートを登れて充実した。

「見張り塔」を下半分のみで撤退したのは心残り。次回こそ山頂まで抜けたい。

見張り塔からずっと(下半)

注文の多い料理店

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