西穂高岳(2909m)西尾根


CL:ぐっさん(記録) SL:GIGI  装備:山師匠  食料:コッシー

数年前からやってみたいと考えていた西穂西尾根。同志会でも初となるルートのようでネットや書籍から情報収集をする。お隣の涸沢岳西尾根に並行している尾根であるが、マイナーな静かなルートのようである。今回は春合宿北方稜線の訓練としての山行で合宿と同じメンバー、同じ役割で取り組んだ。1週間くらい前から天気予報をチェックしていたが週中から土曜は雪、日曜は晴れという予報。代替案も検討したが、合宿の訓練という性格上多少天気が悪くても行ってみることにした。

4月1日土曜(曇 視界は100mほど)

雨の中名古屋発を5:30に遅らし出発。9:00新穂P着。雨はやんだがガスがでていて見晴らしは利かない。新穂の山岳警察詰め所に計画書を提出し蒲田川右俣林道を進む。本当に4月なのかと思うほどの積雪量である。途中ガソリンボンベを車に忘れてきたことに気付き、取りに戻ったりしながら11:30穂高平小屋着。残念な事に西尾根方面のトレースは無い。GPSを見ながら取り付き地点まで進む。途中単独の方が追い越して行き、その後はその方のトレースを使わしてもらう。2000mを超えると幕営適地が点在していたが、天候も安定していたため17:30着で森林限界の2400mまでがんばって進んだ。18:00ころにはガスは時たま無くなり山頂方面や、涸沢岳西尾根や笠方面がきれいに見えるようになる。新穂ロープウェイの山頂駅も若干下の方に見えた。テント設営後ガソリンストーブで水を作り食事を取る。ガソリンストーブは取り扱いが難しいが火力が強く水も短時間でできる。食当は合宿と同じコッシーが担当。やたら辛いマッシュドポテトをつまみに乾杯。メインディッシュの噌煮込みうどんには、わかめを入れすぎ、うどんを食べているのか、わかめを食べているのか良くわからないようなものであったが、お酒を飲みながら、それなりに食べれた。山師匠が梅酒に悪酔いして戻してしまい苦しそうである。わかめが消化不良を起こしたのかもしれない。21:00就寝。

4月2日日曜(晴  午後吹雪)

朝3時起床。山師匠の体調を確認したところ回復したとの事で元気がよい。外は満天の星であるが真っ暗で風もあったため明るくなってから出発することにし、朝食をとり、テント内でビーコンの確認やらゆっくり準備をしていたら、出発が6:00になってしまった。気温はマイナス10度位。西尾根には我々の他、昨日追い越された単独と2名パーティーの計3名が入っており、最後発になってしまったが、その分トレースをありがたく使わしていただく。急登を進み事前調査通り第1岩峰が出てくる。記録は左から巻くとなっていたが、トレースは岩峰左端を直登気味に取り付いておりその通り進む。垂直に近いような雪壁が出てきたりしたが立ち木が部分的に出ており半分木登りのような感じで突破する。続いて北西尾根とのJPに立つ。JPからは真っ白な西穂山頂からジャンダルム、槍ヶ岳が一望に見渡せたが、西穂の山頂までの長いナイフリッジのトラバースやいくつもの岩稜帯が見え不安に感じる。雪質はふかふかでステップが作れなかったり、カチカチでアイゼンの先しか刺さらなかったりとか色々でてくる。

一歩一歩確実にアイゼンを蹴りこみピッケル、バイルをさしながらもくもくと進む。踏み外すと1000mは落ちてしまうような箇所がずっと続く。第2岩峰では、中央から取り付いている先行者がかなり苦戦しているのが見えたため、我々は右側から回り込み取り付く。斜度70度はありそうな雪壁を登るが一枚岩に雪がついていてアイゼンが効かなかったりする箇所もあり途中で行き詰ってしまい、初めてロープを出し、右方面へトラバースし雪壁を直登し危険地帯を突破した。第2岩峰からは山頂はすぐであったが、最後まで気を抜かず慎重に進み11:30西穂山頂着。山頂からは今朝からたどって来たルートが良く見える。朝から5時間半かかったが全員無事にやり遂げることができ達成感一杯でしばらく山頂からの景色を楽しむ。先ほどまで快晴だったのに急にガスがでてきた。後は西穂山荘まで一般道を降りロープウェイで帰るだけである。先週も西穂の一般道から滑落事故があったようなので注意し下るが、西尾根の後でもあるためか、すごく歩きやすく感じた。ロープウェイで日帰りで来たと思われる多くの登山者とすれ違ったが中には夏靴にアイゼンを履いているような方もいて、どうなんだろと思ってしまった。粉雪の舞う中、外国人観光客だらけのロープウェイ山頂駅に15:30に付き無事下山。平湯温泉で汗を流し食事をとり帰名。

今回の山行は合宿前の最終訓練であったが、メンバー全員で参加しいろいろな確認を取ることができた。男のベテラン勢のみと渋い構成であるが、それはそれで楽しいものである。全員が他のメンバーに頼らず確保も無しで雪壁を登ったり、ルートの判断をしたりCLとしても自分の登攀に集中することができた。今回はメンバーや天候等好条件が重なり無事登頂できた。合宿本番も今回と同じメンバーで取り組む。充実感、達成感は高く最高の訓練となった。
参加のみなさん、ありがとうございました。お蔭様で念願の西穂西尾根ができました。この調子で合宿本番もがんばりましょう!

<コッシー感想>
・出発が遅れたことから、道具の確認をし忘れ、車に忘れ物をし取りに戻る時間を少しロスした。ことなきを得たが、共同装備を落ち着いて確認するべきだった。
・トラバースが何ヶ所もあり、しかも距離が長く、ヒヤヒヤの中、緊張感を持ち続けるのが大変だった。
・体力的に大変きつく、緊張感を強いられるハードな訓練だったが、メンバーのまとまりが良く、助け合い、声を掛け合い、あきらめずに進むことが出来、パーティーで登る心強さが発揮された山行だった。
・天気に恵まれ、全体の景色も素晴らしかったが、何よりも、苦労して登ったぶん、見上げた頂上が徐々に近づいてくる喜びは、今までの山行の中でも一番だった。
<山師匠感想>
・次回からはノンアルで乾杯します。
・合宿までに体力を付ける様がんばります。

<GIGI感想>
・合宿に向けた良い訓練になりました。場所、天候、雪の状態、いずれも良かったと思います。
・ガソリンボンベ担当だったのに確認を怠った。コッシーに取りに戻ってもらい、申し訳なかった。
・雪稜での確保はスタンディングアックスで肩がらみか腰がらみをメインにした方が良いというのが僕の考えです。
ロープを流しながら、スピードを落として止めるやり方です。
・アイゼンが傷んでいたのに気がつかなかった。事前に点検はしたつもりだったが、甘かった
・軽量化を進めたが、まだ改善できそう

 

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