2022年冬合宿C 赤岳主稜


【日程】2023年1月7日~9日
【行程】1日目 6:00名古屋 9:15美濃戸駐車場 10:00美濃戸山荘 12:00赤岳鉱泉
        12:50下見出発 14:30取り付き 16:15赤岳鉱泉
    2日目 5:00赤岳鉱泉 7:00主稜取付き 11:00山頂(文三郎で下山)
        13:00行者小屋  13:45赤岳鉱泉 15:00下山開始
        17:25美濃戸駐車場
    3日目 中止
【メンバー】CLキャプテン SLまこちゃん かずちゃん しん(記)

冬のバリエーションルートでのクライミングに憧れを感じ、きっと訓練を積めば何とかなるだろうとエントリーしました。
1日目は赤岳鉱泉までなので名古屋を6時に出発しました。かずちゃんの運転で中央道を走り、八ヶ岳山荘でも手際よくチェーンを取り付けてくれたおかげで雪道歩きが1時間も短縮されました。
ここからは歩き慣れた道をたどり赤岳鉱泉に到着、いい場所にテントの張り跡があったので楽にテントが張れました。見回すと同じエスパース4テンの多い事!隣のエスパースにもマジックで〇〇山岳会とマジックで書いてあった。
テント内を片付け一服、軽く昼食を取り、主稜の取付きの下見に出かけた。
行者小屋での長めの休憩をとり歩き出すが雪が少なく例年雪で埋まっている鉄階段がかなり露出している。
この雪の少なさが主稜を登る上で吉と出るかそれとも凶と出るのかなぁなどと、軽い高山病で頭痛のする頭で考えながら歩いていた。
そうこうしながら主稜への分岐へたどり着いた、薄い踏み跡が取付きの目印のチョックストーンへと続いている、キャプテンからここのトラバースが危ないと何度も聞かされていた。
チョックストーンを越え岩の裏側を周りこみ…キャプテンがルートの説明をしてくれるが全くイメージできず、こんなとこでリードなんてとんでもない、全てリードはキャプテンにお願いしようと思っていた。
下見を終えテントに戻り食事の準備をする。車を降りてからテン場までは歩く距離がしれているので少しでも美味しいものを作りたいと思い、食材をたんまり用意しそれだけでかなりの重量になってしまった。
キャプテンにビールを分けてもらい、明日の成功を願いみんなで乾杯!
沢山背負ってきた甲斐あり、濃厚白湯味の鍋はそれなりには美味しかったと思う。ただやはり量が多すぎ閉めのうどんまで食べきれず食材がけっこう余ってしまった、食当やる度に足りなくては大変と毎回余らせてしまう、丁度良く食材を用意するのはとても難しい。
明朝3時起きなので食後の雑談も早々に切り上げ就寝、しっかりと着込んで寝たため暑かった、朝起きるとみんなも暑かったと言っていたので気温がそれほど下がらなかったようだ。
朝食は昨日の鍋をもとに味噌鯖に生卵と刻みネギをぶち込んだ定番の雑炊を作った、これまた旨かったと思う。
出発の準備を済まし5時にテン場をあとにした、主稜への分岐の手前で先行パーティーに追いついたがなかなか下りて行かないので先行させていただく。このお陰もありスムーズに登頂することができたと思う。
心配していた主稜取付きへのトラバースは慎重に歩くが雪が締まっていたため問題なくたどり着く事ができた。ロープや無線などの準備をすましキャプテンが登攀を開始する、さすがはキャプテン、余裕でチョックストーンを越えていく、そこからはもう姿が見えないのでロープの張りや動き、しばらく止まったり急に流れたりするロープに神経を研ぎ澄ましビレイをする、「ビレイ解除!」のコールが無線から聞こえた。ロープを確保器から外し「ビレイ解除しました!」とコールを返す。ロープが引かれていきやがて「ロープいっぱい!」とコール、この辺りから心臓ドクドク、「登って下さい」のコールがかかり緊張マックス!!いよいよ自分の番、セルフを外し岩に取付く、雪は少なく手で岩を掴みアイゼンの爪を岩に引っ掛け慎重に登っていくが、グローブが分厚く岩が掴みにくく滑ってしまう、代わりにバイルが岩にしっかりとかかる。アルパインヌンチャクを外し丁寧にまとめ、焦らず慎重にと自分に言い聞かせながらゆっくりと岩を越えていった。しばらくロープに導かれ登っていくとキャプテンの姿が見えホッとする。
2ピッチ目もキャプテンにリードをお願いする、つるべで登るのが理想なのは分かるが自信がない。
ビレイをしているとかずちゃんが登ってきた、さすがに余裕の表情。

必死すぎてあまり記憶がないがともかくゆっくりと慎重に登っていたはずだったが、岩を掴んでいた左手が滑り勢いで両足のアイゼンの爪も岩から外れてしまった!しかし右手に持ったバイルがしっかり岩にかかっていて、ぶら下がってしまったが事なきを得た。
2ピッチ目も何とか無事にこなし少しは気持ちに余裕が出てきた、下を見るとまだ分岐のところで僕らが追い抜いたパーティーがまだ待っているのが見え、寒い中長時間待っているだけってのは辛いよなぁと、ほんと1番手で登れて良かったと思えてならなかった。
また、次も当然キャプテンがリードをしてくれると思っていたが「登らせてもらうんじゃなくて自分で登らなくちゃダメだよ!大丈夫だから。」と背中を押されリードで登ることに。先ほどまでの岩場よりは易しかった、そこを越え雪稜を登っていくが終了点がなく更に登っていくと「ロープあと5m!」とのコール。
そこには支点を作れそうな岩もなくもう少し登り何とかスリングのかけれる岩を見つけ、支点を作りビレイを開始する。ほどなくしてキャプテンが登ってきて10mほど下に「ここにボルトあるよ!」と、言われたが全く気が付いていなかった。
ここで一服することに。パンをかじり白湯を飲んでいると、まこちゃんもリードで登ってきた。10mほど下のおそらくキャプテンが見つけたボルトで支点構築しビレイを開始していた。
下を見ると文三郎尾根を登る人たちが見えた、今までは僕もあっちからしか登った事なかった、あそこからなら山頂はもうすぐなのになぁと、ここからあとどれくらいで山頂に着くことができるのか僕には全く分からなかった。正面には見慣れた阿弥陀岳のはずだが、いつもより美しく見える気がするのは何故だろうか。
そこからはコンテでしばらく登り、もう1度リードさせてもらい最後はキャプテンが肩がらみで確保してくれ稜線に無事に抜けることができた。
キャプテンに感謝!がっちり握手した。取付きから3時間半、標準的なタイムだそうだ。
頂上山荘の脇の風の当たらない場所でダウンを着てハーネスも外し一息つく、ここまで来て心から無事に登れて良かったと思えた。
かずちゃん、まこちゃんの到着を待ち、みんなで成功を祝い握手した。
一緒に山頂で記念写真を撮ってもらい早々に下山開始、文三郎尾根を下り行者小屋で小休止、赤岳鉱泉に到着する。
まこちゃんが左足の親指がすごく痛いと、靴を脱ぐと靴下に血が滲んでいる、靴下を脱ぐと爪が浮き指先の皮膚が剥離していた。すぐに山荘の診療所で診てもらう、その間僕らはアイスキャンディーを登る人を眺めながら待つこと20分ほど、凍傷かもしれないので病院で診てもらわないといけないとの事。
明日の阿弥陀岳北稜はパスして急遽下山することになり、慌てて荷物を片付け、まこちゃんの荷物を振り分けテントをたたみ、15時にはまこちゃんを先頭にゆっくりと下山開始。
もう少しのところで暗くなりヘッデンを点け17時半まえに駐車場に着いた。
諏訪中央病院で診てもらうと凍傷ではないが、すごく血行が悪く、また爪が剥がれかけているのは靴が合ってないからだろうとの事。とりあえず凍傷ではなかった事に一同安堵した。
帰りもかずちゃんの運転で深夜にはなったが無事に帰名、みなさんお疲れ様でした、そしてありがとうございました。

赤岳主稜登攀時のかずちゃんペアについて、私まこが記します。
しんさんと同じく冬のバリエーションデビューの私は、チョックストーンの前で不安でいっぱいになっていた。キャプテンとしんさんを見送り、かずちゃんに行きましょう!と声をかけられて腹をくくる。リードのかずちゃんが登っていく様子を観察し、足を置く位置などを確認する。姿が見えなくなってからしばらくすると、かずちゃんからビレイ解除のコールが無線から聞こえた。登る準備をしつつ、後続のパーティーに、「今日が初冬季バリエーションなのですごく時間がかかるかもしれません…。」と伝えると、「最高の天気だから、気にせず楽しんで!」と答えられて少し気持ちが楽に。チョックストーンに悪戦苦闘しながら何とか登り、2ピッチ目もかずちゃんにリードをお願いする。2ピッチ目はチョックストーンと比較すると登りやすく、楽しむ余裕も出てきたころ、キャプテンとしんさんの無線のやり取りから、3ピッチ目をしんさんがリードをしていることに気づく。「この流れは…。」と緊張感増し増しで2ピッチ目を登り終わると、かずちゃんから「せっかくだから、リードしてみますか?」と提案され、「…せっかくなので」と答える。3ピッチ目は階段上の岩稜と雪稜だったため、緊張しながらも登りきり、支点を構築。ビレイの準備を整え、かずちゃんに登ってもらう。その後雪稜や上部岩壁を通過し、最終ピッチを登っていると登り終わったしんさんが稜線から「おーい」と声をかけてくれた。しんさんを目指し登ると、稜線は風も穏やかで、主稜を登り切った達成感で胸がいっぱいになった。
ただ、しんさんも書いたように、私の足のけがのせいで、3日目も晴天の予報にも関わらず2日目で急遽下山することになってしまった。もともと靴があっていないように感じていたため、あっていない道具はけがや事故の元だと深く反省した。


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