50周年記念山行 南アルプス(白峰山脈)北岳3193m、間ノ岳3190m、農鳥岳3026m


メンバー:CLすぎ、SLうめ、あゆ、たか、コッシー、ゆうこりん

天候:概ね 晴れ時々曇り

コースタイム:1日目 5:30奈良田→6:36広河原→8:51白峰御池小屋→11:45小太郎尾根分岐→12:32北岳肩ノ小屋→13:31北岳→14:45北岳山荘
2日目 3:01北岳山荘→3:35中白根山→4:56間ノ岳→6:16農鳥岳→7:22西農鳥岳→8:13農鳥岳→9:13大門沢下降点→11:56大門沢小屋
3日目 5:03大門沢小屋→8:24奈良田

今日の天候は、概ね晴れ。朝4時半過ぎ、奈良田駐車場バス停に並ぶと、すでに始発を待つ10名の先客の姿があった。私たちは、これから会の50周年記念山行で「天上の散歩道」白峰三山を縦走する。私は、白峰三山は初。コッシー、あゆ、たかの3名は、過去、天候不良で途中撤退のため、今回がリベンジに当たる。しかし、予報では、2日目がかなり降られることになっていて、山行を実施するかどうかを1度検討したぐらいだ。さて、今回はどこまで、行けることやら。少しでも、稜線からの大パノラマを楽しめればよいのだが。

広河原に着くと、上高地を彷彿とさせる、ひと、ヒト、人!CLすぎ曰く、「南アルプスの中でも一番人が集まる」とのことだ。トイレと朝食を済ませ、流れに身を任せつつ、出発。広河原橋を渡り、まずは、原生林の広がる樹林帯へ。木々が日差しを和らげてくれる。所々で目を引く、ピンクや紫の花々が美しい。すぎは、プリント図鑑を片手に頼もしい。御池分岐から白峰御池までは標高差500m超アップ。続く行列を見ながら、ペースを作るも、寝不足から体調が今ひとつのメンバーも出てきた。何とか、声を掛け合いながら、白峰御池小屋に到着。辺り一面、朝陽を浴び、暑さはあるが開けた眺望に気持ちも晴れる。

しばしの休憩後、草すべりコースへ。斜度が上がり草つきを九十九折りながら、進む道は直射日光をもろに浴び、止まっていても汗が噴き出す。今思えば、ここが3日間の核心だったように思う。無心にひたすら歩みを進める。立ち止まっても刻むように。肩で息をするメンバーも出てくる中、歩くこと2時間半、ようやく小太郎分岐に到着。稜線に上がると鳳凰三山や甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳の勇姿が目に飛び込んできた。疲労がさっと引いていく。皆で山座同定を楽しみながら、一息つき、いざ「散歩道」へ。ガスが視界を遮ることもあるが、先を見通せる高揚感、大好きな岩稜帯歩きに心が躍る。肩ノ小屋で喉を潤し、最初のピーク北岳に進む。両俣小屋分岐からは西方、両俣小屋へと道は続く。

40分約200mアップの後、まず一座。ガスが広がる中、会旗と周年旗を広げ、集合写真をパシャリ!眺望はないが、みな表情は晴れやかだ。今日のテン場は、北岳山荘。吊尾根分岐を通過し、30分ほど下った。山荘には、既にテントの華。トイレ前の平地にテントを張り、ビールで乾杯。沢ではメジャーという、食当ゆうこりんのちらし寿司を美味しく食べながら、悪天候予報の明日の行動を練り直した。早い時間から降り出す可能性もあるため、早朝3時半出発を決め、18時過ぎにはシュラフに入った。

2日目は、満点の星空の下、30分早めて出発。まずは、中白根山を目指す。すぎは、道中何とか星空フォトを収めたいと試行錯誤。私は、カメラの性能もあるし、心に刻まなきゃと思っていたが、改心の1枚を見せてもらい白旗。やるね、すぎさん!そうこうして、足を慣らしていると中白根山に到着。衣類調整をし、先を急ぐ。徐々に辺りが白んでくる様子に、「かはたれ時」→「かたわれ時」→「君の名は」を思い出し、新海誠作品の話題へと移り、少しセンチメンタルなっていると、太陽がちょうど顔を出し始め、間ノ岳に到着。2座目の集合写真と日の出写真を収め、農鳥小屋を目指す。ここまで、道中で先代農鳥小屋主、深沢糾さんの話題が挙がることがあった。15時?近くになると、小屋の標識のあるドラム缶の前に座って双眼鏡を覗き、登山者に優しくも厳しく声を掛けるのだという。そんな一家言のある方にひょっとしたら会えるかも知れないとの期待がわずかにあった。我々の西側には、間ノ岳→三峰岳→熊ノ平小屋へと続く稜線がくっきり見える。見渡せば、峰々が景色を作り、未踏の縦走路が希望に感じられていく最中、農鳥小屋に着いた。

残念ながら、先代には会えなかったが、コーラで喉を潤し、小屋番から「今は奈良田に行けば会えます」との情報を耳にし、噂のトイレを拝見して出発。空は、雲はあるものの青空が広がっている。CLすぎと同じニックネームの杉さんは、北岳山荘から抜きつ抜かれつしながら、ソロで同じルートを歩いている。ピークごとに旗を広がる私たちに興味を示し、会う度に一言二言交わす仲になっていた。農鳥岳に着くと、集合写真を撮っていただき、ガスが増えてきていることに気付き、先を急ぐ。30分して大門沢下降点に付くと、コッシー・あゆ曰く、農鳥小屋のスタッフから「昨日の5時すぎにトレランパーティーの1人が大門沢下降点で滑落しヘリを呼んだ」との話があった、とのこと。確かに、下降点からは斜度のある下りが続き、走ることは難しそう。私たちは事故があっただろう、トラバースのザレ場を慎重に下った。そこからは長く辛抱を要する2時間半だった。

早出が功を奏し、大門沢小屋に12時前に到着。テントを張り、私は小屋で力ラーメンを食べ、思い思いに午後からの時間を過ごした。川辺でまったりする者、小屋や周辺の偵察に出かける者、昼寝する者様々だ。夕食には、食当たかのお手製スパゲティをたらふく食べた。食後には、思わぬ出会いもあった。コミュ力の高いあゆと仲良くなった若い女性2人組みが私の着ていた水晶Tシャツにつっこみを入れたことで、2人が水晶小屋で働いていた経験があることが分かった。自分が行った時期と重なりはしなかったが、私はTシャツの背面が鷲ではなくホシガラスを模していることを教えてもらい、複雑な気持ちになった。それにしても、この2人組、2泊3日で地蔵尾根から上がってきたということで、われわれは皆羨望の眼差しだった。そして、ひと段落しシュラフに入り込むこと19時過ぎ、ようやく雷雨が始まった。

3日目は、奈良田温泉の始まる9時下山を目指し、5時に出発した。昨日より傾斜も落ち着きトラバースやオープンスペース、沢を渡る機会が増え、比較的楽しく歩くことができた。奈良田には、予定通りの時間に着き、女帝の湯の一番風呂を楽しんだ。

行ってみなけりゃ、分からない。予報に反し3日間、一度もレインウェアを着る機会がなかったこともそうだが、この日見た稜線から広がる山並みと縦走路は未来の私の南アマップに続いていく。

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