鋸岳


鋸岳(2,685m)
自主山行
日時:2016年7月30日~31日

メンバー CLこっしー、SLぐっさん、もっちゃん

  • 8:20戸台駐車場~10:40角兵衛沢出合い~14:00大岩下の岩小屋(2050m)
  • 4:30大岩下の岩小屋~6:40角兵衛沢のコル~7:10第一高点(鋸岳看板)~7:50小ギャップ~8:10鹿の窓~9:20大ギャップ~9:40第二高点~10:40中ノ川乗越~14:00熊ノ穴沢出合い~17:00戸台駐車場

(一日目)北アルプス明神岳に行く予定が、どうも天気が不安定ということで、急きょ南アルプス鋸岳に3人で行ってきました。朝はゆっくりと戸台駐車場に8時に到着すると、河原には車が4~5台。積雪期より車の数はぐっと少なく、静かなスタートとなりました。

手始めは、戸台川の河原歩きが2時間。歩き始めて30分で2回連続の渡渉。それほど広くはないものの、流れは速く、水も冷たい。ここは裸足で行くか、靴にビニールをかぶせて行くか、それぞれ好きなスタイルで渡る。

9:30頃、2つ目の堰堤を過ぎた頃から平坦な林の中に入って歩く。赤テープに沿って進むと、「角兵衛沢出合」の小さな看板を発見。この辺りから取付くはずなので、川の反対側を注視していると、目印の大きなケルンが目に入る。

取付きに行くためには、もう一回渡渉をしないといけないが、ここでアクシデントが発生した。大きめの石をつたって川に入ったつもりだったのに、足を滑らせてドボン。肩まで水に浸かり、ヤバイと思って慌てて立ち上がったら、また滑らせてもう一回ドボン。上も下もずぶ濡れになるなんて、スタートからついてない。河原で上着を着替えて少し休憩。下は濡れたままだけど、気分を落ち着かせて、いよいよ角兵衛沢へ。

12:00頃、3つ目の看板あたりに大岩があり、ここが一合目かな?と思いながら登っていく。その後は、ルンゼのガラ場を登ったり、ルンゼ右の山道を登ったりしながら高度を上げていくが、かなりの急登で息が上がる。どちらにも赤テープが所々あるので、道を間違えることはない。高度1800mを超す辺りからは、上を見上げると立派な岩が見えてきた。今日のテン場所は2050mの大岩下の岩小屋なので、あの岩の下かな?と想像しつつ急登をひたすら登っていく。そうこうしていると、山道の中から人の声が聞こえてきた。そろそろテン場が近い!と思いながら、そこで出会った3人組の女性に声を掛けてみると、各務ヶ原山岳会の人達だった。どうやらテン場を探して迷っている様子。手元のGPSは1950mなので、もう少し上だと思いますよ・・・と話しながら、ゆっくり登っていくと、先頭を進むぐっさんから、「あったよ~」の声。各務ヶ原の人達も安心した様子で、一緒にテンバまで登った。

大岩下の岩小屋は、大きな一枚岩の窪んだ部分。岩から水滴がぽたぽたとしみ出していて美味しい水は十分に取れるし、テントを張るスペースも2張ほどあり、素晴らしい幕営適地。水場の前に各務ヶ原の方と仲良くテントを張り、14:00頃、一日目の行動は終了した。

(二日目)3:00に起床。4:30出発。登り始めは、アザミの棘が服の上からチクチクと刺さり痛い痛いと言いながら登る。ルンゼを詰めていくと、昨日とは変わって石が小さくなり、踏み込んでも流れてしまう。池の平ガリーかと思わせるほどのザレ場で、なかなか前に進まないので、脇にそれて山道へ入ってみる。そこにはちゃんと踏み跡があり、最初からこちらを歩けば苦労しなかったのにと思いながら、2560mにある角兵衛沢のコルに6:40に到着。

コル手前の大きな岩の下にも、2張ほど張れる良好なテン場があった。水場がないため岩小屋で水を汲んで背負わなければいけないが、岩小屋から2時間ほど頑張れば、翌日の行程はかなり楽になるので、このテン場もいいなと思う。コルからの景色は素晴らしかった。仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳はもちろんのこと八ヶ岳まで見える。今回は、南アルプスに来て正解だった。

角兵衛沢のコルから鋸岳第一高点に向かうと、すぐに50m近い鎖の登りに出くわした。登りそのものは難しくないが、細かな落石が起きてしまうので、一人ずつしか進めない。慎重に登って、30分ほどで第一高点に到着。ここにも1張だけだが張れるテン場があった。

第一高点で20分ほど休憩し7:30に出発。小ギャップ・鹿の窓・大ギャップ・第二高点と鋸岳の核心はまだまだこれから。小ギャップまでも、見上げるような急峻な登りと下りの連続だが、どこも長い鎖がついており、やはり一人ずつしか進めない。人とすれ違えば渋滞は間違いないので、鋸岳は少人数で来るところだと思った。実際、今回出会った人は1~3人のパーティーだった。

小ギャップからは、足を滑らせたら滑落しそうな細い岩の道を慎重に進むと、大きな岩に丸い穴の開いた鹿の窓に到着する。鹿の窓をくぐり抜けると、今度は急な下りに出る。ここも長い鎖がついているのだが、あまりに急なのと、足場が悪く落石を防ぐことが出来ないため、慎重に進むしかない。足場がしっかりしていないので、鎖があっても気が抜けず恐ろしい。よく見ると懸垂の捨て縄もあった。下を見下ろすと、私たちが降りるのを待っている反対側から来た3人組がいた。私たちが降りてから振り返ると、3人組パーティーはザイルを出して、スタカットで確保しながら上がっていたので、やはり足場の悪さを心配したのだと思う。

今回の中では、このトラバースが一番の核心だった。岩肌を5~6m渡るだけなのだが、岩肌が逆目になっていて、足をしっかりと置けない。指が掛かる取っかかりもない。さすがに確保が必要だということになって、草付で支点を取ってスタカットでトラバースをすることにした。それでも途中にランニングビレーを取れる場所がないので、足を滑らせたら、ザイルの分だけ30mは岩を滑り落ちていく。大けがに繋がる怖さがあった。

トラバースを無事に終えると、そこからは大ギャップへの登り。大ギャップは、見上げると尖った岩だと分かるが、頂上へ行かずに巻きながら第二高点に向かう。そこからは山道になり、踏み跡もしっかりとしている。第二高点の手前は岩稜帯となっていて、岩をよじ登って9:40頃に二つ目の頂上に到着した。

第二高点からは北岳・塩見岳も良く見え、本当に景色の素晴らしい日だった。ここで30分ほどの大休憩。第二高点からの下りは、再びガラガラの岩。足を取られてバランスは崩すし、落石も防げない。ここでは3人が距離をあけて、広がって下りることにした。中ノ川乗越には10:40頃到着。中ノ川乗越からは、迷いながらの下山だった。こんなところを下りるのか?と思うほど、一面に岩がゴロゴロしたルンゼ。当然、赤テープも踏み跡もない。ただ石があるだけの場所。この石を下って行って本当に良いのか不安だったが、方向は間違ってないので進むことにした。ガレた石の下山が続くと足の裏が痛み出す上、途中にはザラザラの砂場もあり、足をひねりそうにもなった。神経を使いながら滑るように下りる。かなり長く下りいっても、踏み跡がないので、何度もGPSで確認しながら下りていった。

2100m地点まで下りると、やっと踏み跡が分かるようになり、赤テープも出てきた。そこまでは本当に心配だった。熊ノ穴沢の下りは長く、疲れも出てきたことから休憩を細かく取りながら下山した。少々時間がかかってしまい、14:00にやっと河原に到着した。ここまでこれば、あとは河原歩きだけ・・・。3人とも無事に鋸岳を終えた安堵感と長い下りの疲労感で、言葉も出ないほどであった。河原では陽射しもきつく、すぐに動く気にならなかったので、冷たい川の水に浸かりながら大休憩をして、ゆっくり、とぼとぼと河原を戻り、17:00に戸台駐車場に到着した。

コメントを残す

CAPTCHA