槍ヶ岳(3,180m)、大喰岳(3,101m)、中岳(3,084m)、南岳(3,033m)、北穂高岳(3,106m)、涸沢岳(3,103m)
夏合宿B(槍・穂高縦走)
日時:2017年8月12日(土)~15日(火)
メンバー:おさちゃん(CL・食当)、いよちゃん(SL・訓練)、よこたん(訓練・記録)、ターコ(会計・装備)すぎ(配車・装備)、うめ(食当・記録)
コースタイム:
【8月12日】
4:00名古屋→9:45上高地→13:02横尾→15:19槍沢ロッジ→16:15ババ平(テン場)
【8月13日】
4:30ババ平→6:13天狗原分岐→7:23殺生ヒュッテ→8:55槍ヶ岳山荘→9:55槍ヶ岳→10:33槍ヶ岳山荘→14:07南岳→14:16南岳小屋(テン場)
【8月14日】
5:00南岳小屋→6:50長谷川ピーク→7:20A沢のコル→9:40北穂高小屋→13:35涸沢岳→14:00穂高岳山荘(テン場)
【8月15日】
5:15穂高岳山荘→7:20涸沢ヒュッテ→10:40横尾→11:50徳沢→12:55明神→14:00上高地
合宿Bのメンバーは、2泊3日の行程で槍ヶ岳~前穂高の3000mを誇る北アルプスの八座を登頂する岩稜歩行技術と歩荷に耐えられる体力を身に付けるべく、これまで訓練に取り組んできた。にいさんを加え最後に全員で取り組んだ焼岳~西穂高岳の山行では、気象条件によって安全で無理のない計画に見直すこと、岩場のルートの情報を伝え合いチームで登頂を目指すことを経験することができ、それぞれに手応えを感じて合宿本番を迎えることができた。
1日目:当初は、前日入りして6時に上高地から登り始め、殺生ヒュッテまで向かう予定であったが、1日目の悪天と予備日である15日の晴天の予報を前日に確認し、CLおさちゃんの判断の下、早朝に名古屋を出発し、予備日も含めた3泊4日での合宿へ変更となった。2日目の核心部(大キレット、北穂高~涸沢岳)を含んだロングコースにわずかな不安を感じていた私は、八座踏破に向けて気持ちを新たにすることができた。9時前にあかんだな駐車場に着くと、降りしきる雨。バス会社の案内員が私たち一行を不憫に思ったのか、バス停脇に駐車スペースを確保して下さり、感謝。9:45、観光客で溢れる曇天の上高地を出発し、徳澤のソフトクリームで充電し、長い長い林道をひたすら歩く。徐々に晴れ間が広がる。一ノ俣からようやく高度を上げ登山らしくなり、16:15、ババ平に到着した。テント設営後、川辺でスープスパを食べながらビールやワインで乾杯し、明日からの岩稜歩きに備えた。
2日目:4:30、ババ平を出発し、徐々に闇がほどけてくる中、槍ヶ岳を目指す。メンバーの中では、おさちゃん、たーこさんがこれまで何度も計画していながら、巡り合わせが悪く今回が初の槍ヶ岳ということであった。天候も良好、気持ちが高まる。大曲、天狗原分岐とガレ場の続く登りに徐々に疲労が出始めたところで水場に到着。沁みるような冷たさに少しだけ生き返る。そこから少し登ったところで遂に槍ヶ岳が目の前に現れた。すっと天に向かう峰をバックに記念撮影を終え、目標に向けて一歩一歩登ること4時間、ようやく槍ヶ岳山荘に到着した。槍の穂を見上げれば、案の定、蟻のような渋滞ができており、小槍や孫槍の頂きに登ろうとするクライマーの勇姿の話題に花を咲かせ、倍の時間を掛けて登頂した。残念ながら、360度の大パノラマは拝めなかったが、合宿の目標の一座、そして二人の兼ねてからの夢の頂きをまずは踏めたことに安堵した。ここから先の南岳小屋までの稜線歩きは、気持ちの良いものだった。雲の切れ間から時折見える大天井、常念に目を奪われ、2座、3座…と大喰岳、中岳と踏んだ山頂の数を数えていく。南岳では、待っていた雷鳥に見送られながら気持ちを明日へと向けていった。
3日目:安全を期して、空が白んでくる5:00に南岳小屋を後にした。今回の合宿の核心、大キレット~涸沢岳へ向かう。すぎさんを先頭に、序盤は、急なザレ場・ガレ場を越え、垂直に近い鎖場とはしごの連続に身体を慣らしながら降りていった。鞍部から先は、長谷川ピーク、飛騨泣きと難所が続く。実は、私自身2度目の大キレットであった。5,6年前には、岩稜歩行自体に慣れておらず恐怖感と戦いながら通過した経験があるが、今回は、これまでの山行や訓練のおかげで岩場を楽しむ余裕が生まれていた。すれ違いや追い抜きに注意しながら、長谷川ピークの切り立った稜線を渡り、下りは足場の確保に努めながら慎重に降り、7:20に中間点に当たるA沢のコルに到着。ここで長めの休憩を取り、行き交うハイカーを眺めていると、ヘルメットを着用していない者や、父親とともに楽しむ小学生の姿も目に入り場所の感覚が揺らいだ。休憩を終えてすぐの急な岩場の上りで、元同志会のかわちゃんと偶然の再会。私たちとは逆ルートでかなりのハイペースで槍ヶ岳へ向かう姿に励まされながら、飛騨泣きを越えていく。ルンゼ状で足元に注意しなければいけない箇所や鎖や足場があるが高度感のある場所を過ぎ、滝谷展望台では目前に迫る北穂穂高の絶景を楽しんだ。最後の登りは、歩荷の疲れの中落石に注意を払い、9:40に北穂高小屋へ到着。槍からここまでに至るハイライトと眼下に咲く涸沢のテントの花々を眺めながらしばらく休憩を取り、後半戦に臨んだ。ガスも出始め、先の見通しが定まらない中の涸沢岳までは本当に長い道のりだった。足場の脆い箇所も多く、長いはしごを登りきった後のUターン状に斜上する狭いバンドでは細心の注意を要した。いくつものアップダウンを繰り返し、またもや偽ピーク?と思ったところでようやく涸沢岳に到着。予定通り六座目を踏み、穂高岳山荘へ急いだ。
4日目:前日の小屋情報では、この日の天候は下り坂。明朝の天候によっては予定の奥穂高岳、前穂高岳を諦め、下山することが決まっていた。深夜にテントを叩く物音に眠りが浅くなり、3:00に起床。ほぼ雨は止んでいるとはいえ、今後の天気の動向と足場の悪さから安全を期し下山することが決まった。荷物をまとめ、5:15出発。ザイテングラートを通って、チングルマなどの群生するパノラマコースを経て7:20涸沢ヒュッテに到着。濡れたガレ場や雪渓に足を取られぬよう慎重に歩いてきたため、予想以上に疲れが出た。ヒュッテのおでんが、体に染みた。ここから先のパノラマコースは未整備で通行止めだったため、横尾経由で上高地へ戻る。長い長い林道歩きに積もる疲労と降り出す雨。ご褒美の4日ぶりの湯船を目指し14:00にようやく上高地に到着した。
今回は残念ながら3000m八座登頂はならなかったものの、訓練を通じてCLおさちゃんを中心にチームとしてまとまり、それぞれの役割を越えて助け合いながら充実した合宿を過ごすことができました。装備や食事のサポートに尽力いただいた、にいさんを含め共に今回の合宿に臨んだ皆さんに感謝しています。本当にありがとうございました。