甲斐駒ケ岳(2,967m) 黒戸尾根日帰り山行


甲斐駒ケ岳(2,967m) 黒戸尾根日帰り山行
2016年6月11日(土)
自主山行

メンバー:CLソンベ、SLすぎ、おさちゃん、ゴンちゃん、アキ、まいまい(記)

コースタイム:4:30駐車場出発→6:06笹ノ平分岐→7:25刃渡り→7:45刀利天狗→8:29五合目小屋跡→9:20七丈小屋→11:25甲斐駒ケ岳頂上着→12:10甲斐駒ケ岳頂上発→13:30七丈小屋→→14:57刀利天狗→15:16刃渡り→17:40駐車場着

麓から甲斐駒ケ岳を眺めるたびに、やんちゃな少年のような山だなと思っていた。
近くにそびえる仙丈ヶ岳はお母さんで、北岳はお父さん、鋸岳は数人の子分のようだとも。

今回登る黒戸尾根は、前半は駆け登りたくなるようなフカフカのトレイル、後半はハシゴと鎖が連続なアスレチックな岩稜、まさしくやんちゃな少年のようなコースだ。そんなコースを中年男女6人が日帰りで挑む今回の山行。距離約17km、標高差約2,200m、ちなみに急登ランキング第3位らしい。少年の心を忘れずにチャレンジすることは素晴らしいが、少々やんちゃすぎないか・・・?

登山口のある尾白川渓谷駐車場にて前夜泊し、4:30 登山口すぐ近くにある竹宇駒ヶ岳神社にて安全を祈願して出発。尾白川渓谷の吊橋を渡ると登山道に入る。笹ノ平分岐までは気持ち良い登りが続き、新緑の美しさとキツツキの音に癒やされながら森の中を進む。樹林帯歩きが好きな自分はこんな道が永遠に続けば良いのに!と思う。・・・いや、永遠は勘弁か。
6:06 笹ノ平分岐着。分岐の看板には「甲斐駒ケ岳まで7時間」とある。ここから7時間かけて登ったら、下山する頃には登ったら日が落ちてしまう。先を急ごう。笹ノ平分岐以降は徐々に傾斜が急になっていくが、まだまだ苔むした景色を楽しめるぐらいの余裕はあり、コースタイムも予定より短縮できている。ここまでは順調!順調!
7:25 黒戸尾根最初の鎖場「刃渡り」に到達。両脇が切れ落ちた岩稜の道だが鎖がしっかりしていて道の幅もあるので高所恐怖症の私でも問題ない。そもそもガスっているので高度感も感じられない。刃渡りを過ぎてしばらく進むとと刀利天狗という祠がある7:45着。「やんちゃな少年のような山」と称してしまったが、この山は信仰の山で神聖な山なのだ。やんちゃなんて思ってごめんよ甲斐駒クン(←謝ってない)
刀利天狗からしばらく進むと下りの道になる。折角登ったのに何で下るんじゃ!と嘆いているうちに五合目小屋跡地に到着8:29。ルート経験者のスギさんが「ここからが本番」と言う。
本番スタート。ハシゴと鎖の連続。ハシゴも鎖もしっかりしたもので不安はないが登るのに体力を使う。途中、数本の剣が置いてあるポイントがあったので振りかざしてみたが、か弱い女子の細腕には微妙に堪える重さで余計な体力を使ってしまった。垂直に近いハシゴを登るとまもなく七丈小屋に到着9:20。ガスっていて景色なし。「シンドイ!」「疲れたー!」の悲鳴に「ここからが本番」とスギさんが言う。さっきも言ってましたよね?(泣)
小屋を過ぎても続くハシゴと鎖。結婚記念・南 北アルプス全山縦走記念プレート付きの太くて頑丈な鎖があり「あやかりたい!」と思いながら登る。そうこうしていると岩に剣が2本刺さっている姿が見えるポイントに到着する。剣を眺めながら休憩しているとスギさんが「ここからが本番」とまた言いだす。いやいや!もうずっと本番でしたよ!?(号泣)
山頂が近くなるとハシゴなどはなくなるが岩稜登りは続く。視界は開けたがガスっているので周囲の山の眺望はなし。ひたすら修行の登り。空気も薄いので本当に辛い。山頂は見えているのになかなか辿りつけない。つらい、つらい、つらーーーーい!!泣き言を言いながら荒い息で登り、山頂から下りてきた方達に励まされながら何とか山頂の手前にある駒ヶ根神社本社に到着。ここまで安全に登れた事にお礼をするべきだったが足も心も山頂へ。「とにかく早く山頂に着きたいんじゃー!!!」と先へ進むと北沢峠からの花崗岩のザレた巻道と合流し、ついに甲斐駒ケ岳山頂に到着!!11:25。約7時間で登れました!!
皆バテバテでの登頂だったが写真はドヤ顔でバッチリ撮る(笑)
前回北沢峠から登った時は周囲の山がバッチリ拝むことができたが、今回はガスっていて眺望なし。「あら~」と残念がっていたらカモシカを発見。岩を駆け下りる姿は格好良く「あんな風に下りれたら気持ち良いだろうな~」と思う。そう。登ったら下りないといけないのだ。7時間で登ってきた道を何時間で下りれるだろう?18時前には下りたいな。長い下りのために昼食をしっかり摂って12:10に下山開始。

気持ちはサクサク下りたいところだが、急斜面な岩稜帯。一歩一歩安全に確実に下る。下りが苦手な私は段差がある岩場はお尻をついて下る。足の置き場のわからない鎖場は教えてもらいながら下りる。傾斜がゆるいハシゴも後ろ向きで下りる。かっこ悪くても良い!安全第一!!で、いくつものハシゴと鎖場をクリアし刃渡りに到着15:16。するとガスが晴れて今日一番で唯一の眺望がお出迎えしてくれた。「わ~きれい~!!」と喜ぶもガスが無くなるとその高度感がハッキリとわかるようになり、高所恐怖症の私は足を止めることのもなく通過。
さあ!刃渡りを通過すれば後はフカフカのトレイルを下りるだけ!と気持ちが楽になったが、ここからが長かった!!登りではフカフカと感じたトレイルが下りでは膝にジワジワと衝撃を与える。下りやすい道なので駆け下りるように下るが足の指が登山靴にあたって痛い。トレランシューズのような柔らかい靴で下りたくなる。すでに10時間を超えて行動しているので踏ん張る力が弱まっているの気を緩めるとズルっと滑ってしまう。気晴らしに話していた世間話もなくなり黙々と足早に下りる。沢の音が聞こえはじめ吊橋の姿が見えた。「ワッ」と歓声が漏れたところで「最後まで気を緩めない!」とCLの喝が入る。・・・イ、イエッサー(泣)
CLの喝のおかげで全員無事に竹宇駒ヶ岳神社到着。お礼の参拝の後、手水場の水で手と顔を洗わせていただく。お水が冷たくて気持ち良い。駐車場までの道すがら今日の感想を言い合う。「辛かったけど楽しかった。」「一度は登ってみたいコースだったから登れて良かった!」「また登りたい?」「・・・・・。」
また登りたい!と即答できるほどタフでもないし、どМでもなかった。
この山行記録を書いてる今も筋肉の張りが残っているほど黒戸尾根日帰り山行は弾丸でタフなコースだったが、辛い記憶はすぐ忘れる幸せな脳みそをしているらしくまた登ってみたいなという気持ちが少し芽生え始めてる。次回登る時はもう少し余裕を持って登りたい。もう少しタイムを縮めたい。もっと強くなりたい。そう思えるから何度も黒戸尾根を登る挑戦者が多いのだろう。私ももっと体力をつけて岩稜にも慣れてまたあのコースにチャレンジしたいと思う。もしこの記事を読んで登りたい!と思った奇特な人は私を誘ってみて下さい。快い返事をするかは怪しいが(笑)またあのやんちゃな少年のようなコースを通って甲斐駒ケ岳の頂に立ちたいと思う。

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