蝶ヶ岳~燕岳


蝶ヶ岳(2,677m)~常念岳(2,857m)~大天井岳(2,922m)~燕岳(2,763m)
山域 飛騨山脈(北アルプス)/長野県
自主山行(クロス山行)
山行日 :9月10日(土)晴れ、11日(日)晴れのち曇天

メンバー:さいとも(CL)、こん(SL)、よこたん(食当)、いよちゃん(会計)、梅太(記)

コースタイム

9/10
4:30三股P→6:30まめうち平→9:40蝶ヶ岳ヒュッテ→11:20蝶ヶ岳三角点→12:45蝶ヶ岳2592ピーク(クロスエリア)→16:10常念岳→17:30起床

9/11
6:30常念小屋→9:00大天井岳→12:25燕山荘→13:25燕岳→13:50燕山荘→14:55合戦小屋→17:10中房温泉

未踏の表銀座方面から眺める北アルプスの山々を楽しみたい!そして、クロス山行の「約束された出会い」の魅力に惹かれ、高まる期待とともに2日間、メンバーに迷惑を掛けずに歩き切れるだろうか?という一抹の不安も抱いて山行に臨んだ。

9/10
深夜に三股駐車場に到着すると、すでに満車に近い状態だった。流石は蝶ヶ岳・常念岳への入口。その人気ぶりが伺える。わずかな仮眠をとり、日の出前、ヘッデンを頼りに出発。暗闇の中、林道のひんやりとした空気に眠気を和らげ、本沢沿いを歩き、吊り橋を渡ると登りが始まった。次第に朝日が差し込み、周囲を照らし出す。道は、階段が多いが、よく整備されていて歩きやすい。20分ほど歩くと、よこたんさんから事前に案内のあったゴジラの木と対面した。それは、木の形をうまく利用して歯型、目の形に石がはめ込まれたオブジェとなっていて、行き交うハイカー達の想像力にくすりとさせられた。それから、わずかに背中に汗を感じながら登り始めて1時間ほどの所で、後ろから声がした。○○がない!?記憶を辿り、捜索中の荷物を分配していないことをメンバーで確認し、どうするか迷っているとこんさんが「取りに行ってくる!」と手を挙げた。その時、○○が車にあるという保証もなかった。ここまでの時間と脚力を考えてのこんさんの判断に頼もしさを感じ、「どうか車中にありますように!」と願う気持ちで、見送ることとなった。残りのメンバーは、ゆっくりと歩みを進めていった。急登も徐々に険しく、疲れが出てきたところでまめうち平に出た。しばしの休憩。早く合流できることを願いつつ頂上を目指す。高度を上げていくと右手には、時折常念岳が姿を覗かせる。今日はあそこまで行くんだ!と気持ちを高め、最終ベンチへ向かっていると、後ろから颯爽とお目当ての品を背負うこんさんが合流。みんなで労をねぎらい、その勇姿に心が軽くなった。やっとの思いで、森林限界を抜け少し上がると、一気に視界が空き、白くくっきりと連なる山々が眼前に飛び込んできた。知らない内に子どものように「すごーい!」とただただ声を上げ、蝶ヶ岳山頂を踏むのも忘れ「槍が見える!」「あれがジャンかな?」「大キレットはあそこだ!」などとひとしきり山の名前を確認し合った。束の間の達成感と満足感に満たされながら山頂を踏み、蝶ヶ岳ヒュッテで足を休めた。次なる目標は、前日入りし反対ルートからこちらに向かっている別パーティーとの「再会」である。ここまでのところで、CL同士、無線機で連絡を取り合い蝶ヶ岳~常念岳間で落ち合う予定になっていた。北アルプスの大パノラマを横目に、ハイカーで溢れる蝶槍を過ぎると、急な下りとその先のピークが見えた。ここからのアップダウンに向けて気持ちを入れ直し、樹林帯に入ると風が止んだ。次第に暑さが増す。歩荷の重さも肩に増す。期待感で疲労を紛らわせながら歩みを進め、樹林帯を抜けるとピークまであと少しというところまできた。そして、ピークに着くと待っていたのは、「約束された出会い」。両パーティーとも、安堵感に包まれ互いのここまでの道程の険しさを確認し合った。振り返ると、蝶槍を背に立ち上る雲が龍のようにとても美しく感じられた。ここから先、常念岳までの道のりはほとんど記憶がない。疲労に加え、押し寄せる眠気、頭痛との戦いだった。他のメンバーにも不調を訴える者が出ていた。必死の思いで、辿りついた常念岳山頂にわずかに滞在し、霧掛かってきた常念小屋への往路を急いだ。テン場では、シチューとポテトサラダなどの美味しい夕食とともに、常念小屋の接客の悪さ、こんさんの運命的な再会を経験し、明日の天候を祈りつつ程なく眠りに就いた。

9/11
4時過ぎに起床。テントが立てる風音に目が覚めることもあったが、外に出ると心配された雨も今のところ大丈夫のようだ。穂高連峰に目をやると、光と影のコントラストに目を奪われた。奥には槍ヶ岳が黒々と輝いている。さらに、反対側では、雲海から朝日が顔を覗かせ、熟睡した身体に眩しい。朝食を済ませ、軽やかな気持ちで出発した。2日目は、アップダウンも昨日に比べ少なく、稜線歩きとともに移り変わる北アルプスの景色を楽しむ、ご褒美山行となった。ひと登りし、後ろを振り向けば、浮き石の多いジグザグ道が同じ目の高さの常念岳へと伸びていて、昨日感じられなかった達成感がにわかに湧き上がってくる。横通岳をトラバースし、東天井岳へ。左手に見える山並みも少しずつ変化する。いつの間にか槍ヶ岳の右側に小さなコブができており、「アルプス一万尺」の歌に出てくる小槍だということをさいともさんから伺った。後日、調べてみると「アルプス一万尺」の歌は29番まであり、槍から奥穂高岳、西穂高岳を通って上高地に至る縦走路の情景が歌われているのだとか。東天井岳を巻いて広くて明るい稜線をグングン行くと、大天荘に到着し、荷物をデポして目と鼻の先の大天井岳山頂へ。戻ってわずかな休憩後、小屋から続く勾配のあるガレ場を下ると、燕岳と槍ヶ岳を示す看板が目に入った。ここから、表銀座縦走路である。高まる気持ちで、まだ見ぬ最終目的地の燕岳を目指す。小林喜作のレリーフのある切通岩のはしごや鎖場を登ればなだらかな稜線続きである。見える山々の情景も変化してきた。時折立ち止まって山の名前を確認するメンバー。槍の奥には、笠ヶ岳が顔を出し、更に進むと前方には劔岳の雄大な山並みも目に入ってきた。もっと登り、色んな山のことを知りたい!そんな思いに掻き立てられた。歩くこと3時間。予期せず、目前に迫る燕山荘の手前のハイマツ帯の岩陰から雷鳥が!カメラを構えると、つがいと見られるもう一匹がひょっこり!ゴール目前の僥倖にメンバー皆、暖かい気持ちに包まれた。初めて来た燕山荘は、大きく綺麗でサービスも行き届いていた。山でケーキセットを食べれるなんて!いつか必ず泊まりに来ようと心に誓った。燕岳山頂までは、燕山荘から片道約30分。真っ白な花崗岩でできたイルカ岩やめがね岩などの奇岩を楽しみながら往復した。そして、怪しくなってきた雲行きと時間を見て、合戦小屋で名物のスイカを食べ、急ぎ足で下山した。

今回の山行を通じ、これまで知らなかった北アルプスの魅力を発見し、自分自身の体力や精神力を見つめ直す良い機会となった。また、初めてのクロス山行は、再会の暖かさを教えてくれた。CLのさいともさんはじめ、クロス山行に参加された皆さん、本当にありがとうございました!

コメントを残す

CAPTCHA