雪洞訓練


雪洞訓練
和田牧場(1,050m)雪洞訓練、野伏ケ岳(1,674m)
2018年2月24~25日
山行部企画:雪洞作成・雪上訓練・雪山歩行訓練

天気:曇り時々晴れ
メンバー:CLこん、ぐっさん、もっちゃん、ターコ、おさちゃん、すぎ、gigi、けんけん、コッシー、ケンさん、よこたん、よっちゃん、きむ、はやっしー、まーちゃん、岩やん、ともさん、ちえぞう、棟梁、とおちゃん、かに、りゅう、Taco、うめ、かずやん、ホーリー(記)
 
2月24日(土)
6:30 瓢ヶ岳PA 集合・出発→8:00 白山中居神社駐車場着
8:40 先発隊 駐車場発→11:35 先発隊 和田牧場着
9:15 後発隊 駐車場発→11:35 後発隊 和田牧場着
12:00〜16:00 雪洞掘訓練
17:00〜20:00 夕食準備・夕食
21:30 就寝

2月25日(日)
5:30 起床  6:00 朝食
◆野伏ヶ岳アタックメンバー
8:00和田牧場発→ 9:00 ダイレクト尾根取りつき→11:00 ジャンクションピーク→11:30 山頂→11:45 下山開始→11:50 ジャンクションピーク→12:30 ダイレクト尾根を外れる→13:00 和田牧場着
◆雪上訓練メンバー
8:00雪上訓練開始:雪山ビバーク訓練、ワカン歩行訓練、ビーコン操作、探索訓練
13:00 訓練終了

13:30 撤収開始→15:15 和田牧場発→15:45 駐車場着
 

「雪洞」を作ってビバークする。冬季における登山中に、天候の急変等で止むを得ずビバークする際に、その場にある雪を活用して穴を掘り、雪や風を防ぎ耐える。
訓練を受けずには絶対にできないこの訓練について、昨年12月頃に鈴鹿山脈の雨乞岳に登った際に、山行メンバー3人から誘われました。今季、そこそこ高額ながらも雪山装備をすべて揃えてしまった私としては、冬合宿も終わった後だし、程よく鍛えられているだろうからと、一も二もなく参加表明をしました。その根底には、雪洞という何か秘密基地感というか、隠れ家的というか、雪の中に自分「だけ」の居場所を作るというこの「雪洞」の2文字に強く惹かれていました。また、雪洞訓練に先立って、1月の集会後のミニセミナーにてベテランからの雪洞セミナーも座学であり、「ゆったりとした1人の空間をお楽しみください。」と締めくくられており、これは良い!なかなかできない体験ができるぞ!と、訓練そっちのけで、久しぶりにわくわくしておりました。

2月24日(土)
 早朝、瓢ヶ岳PA に集合し、白鳥のインターを出て、毎年スキーに行くウイングヒルズスキー場の前を抜け、白山中居神社駐車場に到着。今季4回目の雪山なのでテキパキとスパッツと冬靴を履き準備は万端、さあ出発となりました。しかし、メンバーの1台がなかなか現れず、その車には私が運搬担当の共同装備があり出発できません。やむなくCL判断で先発隊と後発隊にわけ、最後の1台を待ちました。どうやら九頭竜湖の方にいってしまったとのことでした。
 気を取り直して、後発メンバー7人で出発し、徐々に雪深くなったあたりで「わかん」を装着します。しかし、私はまだまだ初心者だったようで、わかんの装着が甘く、足元がぐらぐらしてしまい、あっという間に疲労し、相当ゆっくり歩行でメンバーに迷惑をかけてしまいました。ここで改めて雪山関連の訓練の重要さが再認識されます。2時間半程で、雪洞訓練エリアに到着すると、先発隊は既に自分の寝床となる雪洞掘りに取り掛かっています。これは遅れてはならないと、空いている場所を見つけ掘りにかかります。集会でのセミナーでは雪洞内の快適レイアウトが図示されており、入口が狭めの昔の寝台列車のA寝台というイメージでしょうか。しかし、選んだ場所の雪は深いものの傾斜がなだらかなため、一旦掘り下げて横に掘るスペースを確保し、そこから斜面に向かって掘り進み、内部で掘り上げるという工程となります。なので、快適空間の実現にはかなりな量の雪を掘っては外に出し、掘ってはまた外に出しの繰り返しとなります。4方が雪の壁になると、風はなくなり、外の音も聞こえなくなり、とにかく一心不乱に雪を掘り続け、なんとか理想的な内部構造の雪洞が完成しました。とはいえ、腕の筋肉がかなり疲労してしまい、ほんとのビバーク時はこんな悠長なことはしていられないだろうと思いました。作業が終わって、他のメンバーの様子を見に行くと、メンバー全員で過ごせる食堂用雪洞の構築に取り掛かっています。私も食べる故に、急いで参加し内部の拡張やテーブル用の雪のブロック切り出しを手伝いました。ここでスノーソーが以下に楽に切り出せるかがよくわかりました。程よい広さの食堂雪洞が完成し、椅子や背中は寒いながらも、食当の方の美味しい夕食をいただきつつ、お酒もいただきつつ、自分の雪洞に引き上げました。そして、いよいよ快適空間で快適睡眠…と思いきや、入口が広いせいか蝋燭に火をともしてもあまり暖かくならず、ガスコンロでお湯を作りつつ温まろうとすると、酸素消費が多いのか、少し息苦しい。湯わかしは程ほどに、冬用シュラフに包まれば暖かく寝られるだろうと、シュラフに潜り込んで寝始めると、どんどん寒くなってきます。どうやら雪洞掘りでかいた汗が低い気温で体温をさげてくるようです。急いで濡れてない服に着替えたものの、シュラフの中に湿気が移ったのか、改善はされたもののやはり寒い状態はつづいています。寝てよいものかどうのかと延々悩みながら寒さと格闘し続け、気づいたら結局朝になっておりました。実体験にて勉強にはなったものの、できれば快適空間として満喫したかったといえます。

2月25日(日)
 睡眠不足気味な私は、当初、野伏ヶ岳の登頂を希望していましたが、体力的な課題もあり、ここは初心に戻るため雪上訓練の参加に切り替えさせてもらいました。ここでの訓練は大きく4つ。雪山ビバーク訓練、スノーマウント作成訓練、わかん歩行訓練、ビーコン操作・探索訓練です。雪山ビバーク訓練は、ツェルトを使用します。雪面を掘り下げて足を延ばせるスペースを確保しつつ、ザックに座って穴をツェルトで覆って風雪をしのぐというもので、ツェルト内は意外と暖かく割と簡易にできました。しかし、雪が少ない時期や場所、溶けて雪があまりない場合も想定されます。その場合は雪面に穴をあけることもできず、風雪はしのげません。この局面では、周りの雪をかき集めてスノーマウントを作成し、下から穴をあけてビバーク空間を作成するという方法があります。今回はザック3つを並べて、その上に雪をのせて固め、下から穴を掘り、ザックを抜き出して空間を作成します。この作業は、前日の自分用雪洞で疲労した腕に更なるダメージをかけてきます。しかし、埋めたザックは掘り出さないと帰れないため、やるしかないなと頑張って作業をして立派なスノーマウントが完成しました。4人で1時間かかりました。ここで、北に美しくそびえる野伏ヶ岳を眺めると、山頂手前で列をなして登っていくメンバーが小さいながらも見て取れます。天気も良く景色はかなり壮大なんだろうな、どっちの参加が楽だったんだろうと思いつつ、初心者はやはり訓練からだと、次の訓練に取り掛かります。わかん歩行訓練では、改めて基本から詳細にベテランに聞きました。ここで、正しいわかんのつけ方を学ぶことができ、もはや間違うことはないだろうと思います。最後はビーコン操作・探索訓練です。めったに障ることがないシロモノですが、雪崩などに巻き込まれたら30分以内に見つけないと死亡リスクが高まるとのことで、メンバーも真剣に取り掛かります。使ってみてわかるのは、いくらかは誤差があるものの、探索時の歩き方、進み方によって探索時間はかなり効率化できるということがわかりました。実際の本番では忘れず、あわてない必要がありますが、そうそう使う機会もないため、やはりビーコンを持った場合は事前に練習しておくことが必須と思いました。
 訓練がおおよそ完了するお昼ごろ、登山メンバーが返ってきました。最高の天気と最高景色で白山まで美しく見られたとのこと。しかし、登頂よりも重要な訓練ができ、やはり訓練に参加しておいてよかったように思います。雪山登山はまず基本訓練をしっかり終えてからがよいでしょう。また次回行ければよいと思います。
 メンバーもそろう頃、それぞれ自身の傑作の雪洞を破壊し、大食堂もつぶしておきました。登山者がはまってケガや遭難につながらないため、動物が落ちないためといえます。帰路はきっちりわかんを装着し、快適に歩いて30分で駐車場に帰って来られました。今回の訓練はめったに体験できない貴重なものであり、次の雪山に生かそうと思います。とはいえ、雪のない山の春合宿がせまっているので、ずいぶん先になりそうですが、忘れず今度こそ登頂したいと思います。
本訓練では、種々のトラブル発生ながらもすべてを取りまとめていただいたCLをはじめ、訓練指導をいただいたベテランの方々、様々な準備をいただいたメンバーの方々のご尽力により充実した2日間になりました。感謝いたします。

野伏ヶ岳登頂組

雪上訓練組

集合写真

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