西穂高岳(2,909m)


西穂高岳(2,909m)
自主山行

2019年8月4日
メンバー:CLたけ、SLよちろう、ともっち、とも、まささん、とうた、かっちゃん、しのぶちゃん、アンちゃん(記)
コースタイム:
7:20西穂高口→8:13西穂山荘→8:47西穂丸山→9:33西穂独標→10:09ピラミッドピーク→10:39チャンピオンピーク4峰→11:25西穂高岳→12:25チャンピオンピーク4峰→12:43ピラミッドピーク→13:12西穂独標→14:05西穂丸山→14:18西穂山荘→15:32西穂高口

2019年夏合宿A(白峰三山)に向けたトレーニングの締めくくりとして、CLの発案により西穂高岳に登った。西穂高口まで新穂高ロープウェイで上がり、西穂山荘から西穂高岳に至るルートを往復した。

今回は、合宿の訓練という側面もあったため、山行を楽しみつつ以下の点も意識的に実践することとした。
1.急峻な岩場を、三点支持で確実に通過すること。
2.岩稜帯を、滑りやつまずき、落石を起こさないよう注意して歩くこと。
3.混雑する登山道であっても、安全なすれ違いと追い越しを行うこと。
4.ロープウェイ利用で下山時刻に制約があるため、予定されたコースタイムに遅れないように行動すること。

4日は鍋平駐車場に移動し、足早に新穂高第2ロープウェイ白樺平駅に向かった。白樺平駅には5時半頃到着したが、我々より先に到着した登山者のザックが2名分あっただけで、他の登山者の姿はまばらであった。

6時半ごろ、ロープウェイ乗り場の入り口が解錠される頃には、周囲は我々と同じく始発のロープウェイを狙う登山者であふれていた。そんな中、当初の計画通り始発のロープウェイに乗れた我々は、少しの安堵を覚えつつ、ロープウェイの窓越しに、これから登る西穂高岳の稜線に視線を送った。久々の好天に恵まれた週末、逆光に映える尖った稜線は、これから始まる山行への期待と同時に、これから始まるハードな山行を無事こなせるかという不安も同じくらいに抱かせた。

まもなく、ロープウェイは西穂高口駅に到着した。高度順応を兼ねて、しばらくの間、展望台にて北アルプスの山々を眺めた。中でも、朝の陽光に照らし出された笠ヶ岳の山容は、ひときわ美しいものがあった。その後、7時20分、西穂高口から西穂山荘に向かって出発した。ここから西穂山荘までは、樹林帯の中の登山道を歩くことになる。所々、先週までの雨によるぬかるみや、木の根が生み出す段差を乗り越えなければならない箇所もあるが、登山道はよく整備されていた。時折木々の間を突き抜ける朝の陽光を感じかながら、快適な樹林帯歩きを楽しんだ。

8時13分、西穂山荘に到着した。しばらく休憩した後、まずは西穂高独標を目指して出発した。ここから独標直下までは、「登山」と聞いて誰もがイメージするであろう、絵に描いたような稜線歩きとなる。好天とも相まって、向かって左側(北西方向)には笠ヶ岳、右前方(北東方向)には前穂高岳を鮮明に臨むことができた。登山者にはよく知られたコースであり、また夏山シーズン本番かつ絶好の好天ということもあり、稜線上の登山道には多数の登山者がいた。追い越しやすれ違いの場面も発生したが、合宿訓練目標の3.(安全なすれ違い・追い越し)を意識し、前方もしくは後方に他の登山者を確認した際はパーティー内で声を掛け合い、他の登山者の妨げにならないよう安全な場所に退避してすれ違い・追い越しを行った。

西穂山荘を出発してからおよそ1時間後、西穂高独標の直下に到着した。ここから、ヘルメットを装着し、ストックも収納して先に進む。独標直下の登りは斜度の急な岩場となっており、先に挙げた合宿訓練目標の1.(三点支持)が試される場面である。しかしながら、登山道の幅には余裕があって手足の置き場所もわかりやすく、三点支持を守って登っていけば問題は無かった。そして、9時33分に第一の目標である西穂独標に到達した。様々なガイド等でも紹介されているように、独標から西穂高岳の間のピークの連なり(独票を11峰、西穂高岳主峰を1峰として、合計11峰)は本格的な岩稜帯であり、難易度の高い登山道として知られている。ここから先は、これまでの合宿訓練で培われた岩場歩きの経験が問われることになる(合宿訓練目標の2.)。

独標から西穂高方面への下りが、最初の関門となる。独標を西穂高側に降りた鞍部の両側は切り立っており、高度感がある。しかし、合宿訓練目標の2.(岩稜帯歩行)の実践として、浮き石や足の置き場所など足元を慎重に確かめながら降りていき、何事も無く通過することができた。続いて、10峰、9峰を越えていく。9峰を通過した直後に、このルートの核心といえる部分が現れる。斜めに切り立った大きな1枚岩を通過しなければならず、かつ、この岩に足を乗せられる場所(窪み)は一箇所しかない。足の置き場所に注意しながら、慎重に通過した。

8峰であるピラミッドピークには、10時9分に到達した。ここには山頂と同様に「ピラミッドピーク」と記された標識が設置されており、天候に恵まれた当日は、北東方向には奥穂高の稜線、南西方向には上高地や霞沢岳、さらに南西の彼方には乗鞍岳を望むことができた。8峰からチャンピオンピーク4峰までは、高度感のある岩稜帯が続き、7峰のトラバースでは鎖場も登場する。ここも、合宿訓練目標の2.(岩稜)を実践する場面である。もっとも、浮き石や滑りやすい部分を見極めながら岩場にしっかりと足を乗せて歩くことができれば、それほど44難易度が高い箇所では無い印象であった。今回のメンバーは皆、これまでの訓練で岩場歩きの経験を積んできただけあって、全員、問題無く通過できた。晴天で日差しが強い中、時折谷間から吹き抜ける冷たい風に心地よさを感じながら、尾根伝いに岩稜帯を登っていった。

ピラミッドピーク到着から30分あまりたった10時39分、チャンピオンピーク4峰に到達した。チャンピオンピークの頂上付近には休憩に敵した幅の広い斜面があり、ここで少し休憩を取った。続く3峰と2峰は、ピークでは無く岐阜県側への巻道を歩く。コース幅が狭く、足元には浮き石や滑りやすい岩が所々ある上、鎖も無いため細心の注意が必要であった。

2峰通過後、主峰である西穂高岳山頂直下に到達した。ここからは、独標直下と同様に、傾斜の急な岩壁を再び三点支持でよじ登る必要がある。再び、合宿訓練目標の1.(三点支持)を実践する場面である。独標直下よりも傾斜がきつく、手足を置く場所も登山者自身が見極めていく必要が多くなり、難易度は上がる。その分、クライミング的な面白さもあった(それを、面白いと感じたかそうでないかは、メンバー各々で違ったようである)。アタック開始から10分から20分あまりの後、11時25分頃、今回の山行の目的である西穂高山頂に到達した。西穂高頂上では、しばしの間休憩し、絶好の展望を楽しんだ。奥穂高方面を望めば、言わずと知れた難関ルート(西穂高岳~ジャンダルム~奥穂高岳)が目前に迫り、その偉容を覗かせていた。反対方向には、帝国ホテルをはじめとする上高地の風景もよく見えた。

11時45分頃、西穂高岳からの下山を開始した。ここからは、合宿訓練目標の4.(コースタイムの遵守)を意識し、スピーディーに下山することが要求された。もっとも、西穂高登頂時点で、予定よりも速い順調なペースでこなせていたため、下山のペースについても特別な不安は無かった。登りで一度歩いたコースであり、かつ下りの傾斜が主体となるため、下山も順調なペースで進んでいった。天候は午後になっても崩れることが無く、下山では進行方向側に見える上高地方面の眺望を楽しみながら歩くことができた。

下山は順調なペースで進み、13時12分には西穂独標に再び到着した。下山の際も、登山道には多くの登山者がいたため、合宿訓練目標の3.を意識し、メンバー内で声を掛け合いながら、安全なすれ違い・追い越しに努めた。その後、西穂丸山を経て、14時18分には再び西穂山荘に戻ってきた。西穂山荘では、冷たいソフトクリームの食感に癒やされながら、西穂高岳からの無事帰還を果たした達成感と心地よい疲労感の余韻にしばしの間浸った。

そして、最後の集中力を振り絞って、西穂山荘から新穂高ロープウェイ乗り場の西穂高口駅まで下山を開始した。途中、西穂山荘に前泊すると思われる登山者達とすれ違いつつ、15時32分に西穂高口駅に無事到着し、15時45分発の下山ロープウェイに乗車することができた。白樺平駅に下山した後は、新穂高温泉の日帰り入力施設で汗を流した後、名古屋への帰途についた。

今回の山行は、最高の天候と眺望の中で西穂高岳の岩稜歩きを楽しみつつ、をこれまで合宿Aで行ってきた訓練の成果を体感した、充実した内容であった。

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