蝶ヶ岳(2,677m)


蝶ヶ岳(2,677m)
2019冬合宿C
2020年1月11日(土)~13日(月)
メンバー  CL/ケンさん、SL/配車/食 よっちゃん、装備/TOM、
ルート/しん、気象/ターコ、会計/めーとく、記録/まーちゃん

コースタイム
1/11
沢渡駐車場5:40→中の湯バス停9:00→大正池10:00→河童橋12:20→明神14:30→徳沢15:40
1/12
徳沢5:30→長壁山10:30→蝶ヶ岳山頂11:58→長壁尾根13:10→徳沢16:00
1/13
徳沢7:30→明神8:40→河童橋→大正池→中の湯バス停11:45

冬の上高地に憧れて、釜トンを歩いてみたくて。参加の動機はそんなことだった。目指す山は蝶ヶ岳で、長壁尾根を詰め横尾に降りるという体力自慢向けなルートだし、実は私には向いておらず、ちゃんと遂行できるか不安も大きかった。若干マイナスな感情を抱きつつも、メンバーはその道にめっぽう強い猛者揃いだし、ここは皆から何かしら得ることを目標にしようと心に決めて当日を迎えた。

初日は釜トンから徳沢までただひたすら歩荷行軍する。時折走ってくる工事車両のダンプカーと路面の凍結に注意を払い続けながらも周りの景色を観察する。天気は最高!焼岳が真近にあって、天狗岩~ジャンダルム~奥穂~吊尾根辺りまでが本当に美しく迫ってくる。ほどなく大正池に至り、ここからはルートを散策路に執る。夏の木道はすっかり雪に埋もれ、辺りには無数の動物の足跡。猿の群れと一緒に小休止して、動物園よりじっくり観察できてしまうほどのどかだ。
ただし荷物が重い、重すぎる。私は徳沢までの雪道を完全にナメていた。平らとはいえ、やはり平らでもない。また、多少のラッセルだって必要で、案外体力を消耗する。必死で歩き続け、徳沢に到着したときは実にホッとした。慌ただしくテント設営を行い、水を作りながら食事を完成させる。鶏だし鍋は野菜たっぷりで、疲れた身体に染み渡る優しいお味だった。まず明日の計画を確認し、その後の雑談は尽きないものの、とりあえずこの夜は就寝となった。

深夜3時に起床。準備を整え、予定より30分程度遅れて長壁尾根へ突入だ。朝陽が登る頃、樹林からではあるが穂高連峰のモルゲンロートを目撃!雪山に反射しているからだろう、私にとって過去最高のモルゲンロートの美しさだった。
長いダラダラした登りは永遠と思われるほど続く。いつしか曇り空に雪が舞うようになり、ひとまず長壁山を目指し、その先は天候次第と方針を定める。
幸い先行パーティーがおり、程よい距離感を維持してゆっくり歩くことが出来ありがたいものの、さすがにトレース泥棒も程々にしなくてはならない。途中で追い越し、自分たちで頑張った。それでもソロの歩いた跡があったため、かなり楽に進めたのは運が良かったのだと思う。
長壁山だが、実はうっかり通り過ぎたころに気が付いた。TOMは下見山行をしていてくれたが、当日の長壁山は積雪により風景が一変していたらしい。その場で、天候はまずまず、時間的にも大丈夫であると判断し、先に進むことになる。雪に埋もれた妖精の池を通過し、いよいよ稜線が見えてきた。凍てついた稜線ではハイマツが氷に閉ざされており、踏むたびガラスが割れるような感覚になる。慎重に足の置き場を選びながら、ほどなく全員で蝶ヶ岳の頂上を踏むことに成功した。
復路については、暴風の稜線をこのまま進み横尾へラッセル下山の場合の危険を予測し、今回は往路を戻る判断をした。幸い往路に危険個所はないので、うっかりミスを起こさぬことだけ肝に銘じ、アタマの中で今夜の暖かなキムチ鍋を妄想しながら無事下山完了となった。 

楽しかった合宿も、あっという間に最終日を迎えてしまった。またもや上高地への行軍がスタートだ。この日は曇りなので眺望はなかったものの、今回の合宿で体験したことをひとつづつ思い出して歩いた。どれもが楽しく新鮮な出来事だったうえ、山のこと以外でも皆の心の優しさに助けられたことがたくさんあり、得るものが多い合宿だったことに感謝している。

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