黒岳(1,984m)~トムラウシ山(2,141m)


黒岳(1,984m)~トムラウシ山(2,141m) 縦走
自主山行
2020年7月17日(金)~18(土)
メンバー  CLメリーさん、SLりゅう、山師匠、gigi、まいまい、まぁちゃん(記録)、他1名
コースタイム
1日目
06:00黒岳ロープウエイ/リフト→06:58七合目登山口→07:52黒岳→09:58北海岳→11:35白雲岳避難小屋→15:38忠別岳→16:50忠別岳避難小屋(泊)
2日目
04:00忠別岳避難小屋→05:06五色岳→06:00神遊びの庭→06:30化雲岳→11:13トムラウシ山→12:53トムラウシ公園→14:58コマドリ沢出合→16:52カムイ天上→17:45短縮コース分岐→18:09短縮コース登山口

1日目
ロープウエイとリフトを乗り継ぎ、まずは黒岳を目指す。登り一手の道のりは、朝イチの身体にはちょっときついけど、そこそこのペースで登り切る。

石室を通過し、次は北海岳だ。リフトを降りて、まだいくらも歩いていないのに、道すがらお花畑が凄いのなんの!まだ元気いっぱいな私たちは、各々写真撮影をしながらせっせと歩く。右手の有毒温泉(すごい名前だが、その名の通り立入禁止エリア)から流れてくる硫黄臭に、辺り一帯が火山エリアだと気付かされる。

北海岳を過ぎると、歩きやすいためスピードUP。あっという間に白雲岳分岐に着いた。白雲岳まで空身でピストン可能(約1時間)だが、体力温存のため全員休憩を選ぶことにした。

お次は高根ヶ原を進む。いかにも北海道を感じさせてくれる広漠な大地だ。このあたりで初めてトムラウシ山の遠望を拝むことが出来た。王冠を思わせる独特な形が白く霞んで見える。手前の忠別岳(ちゅべつだけ)はくっきり見えるのにだ。一同「本当にあそこまで歩くの!?」な感想。
くっきり見えてた忠別岳だが、何故かなかなか近づけない。変化に乏しい地形だからなのか、それとも距離感を掴めないだけなのか。それだけに、忠別岳の頂上を踏んだ時は、実に嬉しかった。

ここまで来れば、あとは避難小屋まで下るだけ。しかしここからも遠かった。小屋は見えているのに、なぜかグンと遠回りを強いられるのだから堪らない。心が折れそうになるが、それでもあとちょっと。本日最後の気力をみなぎらせ、やっとの思いで避難小屋に辿りついたのは、出発から10時間が経過するころだった。
避難小屋の中を覗くと3~4名程の登山者がいた。こちらが7人だと告げると、2階が空いていると教えてくれた。助かった~、今日は小屋でゆったり休める!ちなみに、テン場はわりと満員状態。もしかしたら、コロナ感染対策で避難小屋を避けたのかもしれないが、私達には好都合だった。
今回の食事は各自なので、それぞれ簡易な食事で済ます。でも、それで上等。翌日の体力を養えればそれで十分だ。美味しいものは下山後の楽しみにとっておけば良いんだから。まだ19:20だったけど、当たり前のようにあっさり就寝となった。

2日目
3時起床。寝床を片付けたら各自手早く朝食を済ませ、パッキングをする。そして、計画通りの4:00に出発だ。途中日の出を拝み、本日も晴天であることに感謝。
まずは五色岳に登る。登るといっても、そんな急登でもないので苦はない。しかし、このあたりからヒグマの糞の多いこと!登山道に容赦なくマーキングしてあるが、当のヒグマの姿は見当たらない。ホッとするような、残念のような。
木道が続くようになると、周囲一帯が湿原だ。その奥にはトムラウシ山がその荘厳さを放って鎮座している。ここはアイヌ語でカムイミンタラ=神々の遊ぶ庭というが、その意味がよくわかる気がした。

写真撮影に最適と思われるこの地から、少し登った山が化雲岳(かうんだけ)。ここでの楽しい雰囲気は、最近会員外となったT1さんに写真を撮ってもらい、リアルタイムで同志会LINEに送信した。

左手にヒサゴ沼を見下ろし暫く進むと、岩ゴロな場所が容赦なく続く。ロックガーデンという難所だ。メンバーにとっては別に難所ではなかったが、問題もあった。脚の疲労が半端ない。特に足裏の痛みが辛い。10時間歩いたダメージは一晩で回復させるのは困難だ。ましてや中高年集団ですからね、なかなか無理な相談で(汗)。けれど、辺りから「チッ、チッ」という可愛い鳴き声が!あれ?もしかしたらナキウサギかしら・・・と立ち止まっていたら、岩の隙間から茶色い丸っこい小動物が素早く移動する姿が。間違いない、ナキウサギだ。ちょっと遠いし一瞬だったから写真は間に合わなかったけど、全員で目撃することができたのが嬉しい。

この先が北沼だ。山をやる人ならご存知であろうトムラウシ山遭難事故の現場だ。当時は悪天候で悲惨な結果を招いたわけだが、今日はそんな影は一切見当たらない。快適そのものの登山日和だ。晴天で、そのうえカラッとした空気はひんやり心地よくそよいでいる。
北沼で何度目かの給水を行う。エキノコック症への感染を防ぐため、北海道では生水は決して口にしてはならない。どんなに清らかな水でも全て浄水または煮沸を要する。

ここからついにトムラウシ山のピークハントだ。20分程岩場を登れば、これまでとは打って変わって人まみれの山頂に登頂。ともあれ、目的達成の瞬間だ!

さあて、あとはほぼ下りのみとなる。とは言えコースタイムで4時間もあれば、楽なハズはない。案の定、それはそれは壮絶な体験だった。帰宅後に地図を眺めていても、あの過酷な下りを予測するのは不可能。トムラウシ山を征し緊張の糸がとけたからか、自分の中で前向きな気持ちが失せていくのがよく分かった。

トイレブース(この付近し尿は全て持ち帰り)でしばし自分と向き合い折り合いをつけていざ出発。じきに、緑が生い茂り雪渓の水が多岐に流れるとっても美しい場所に出た。ここがトムラウシ公園という場所らしい。ゆっくりしたい気持ちを殺し、とにかく前進あるのみ。前トム平を通過し、脚がガクガクしたころでコマドリ沢の雪渓を下る。持参した軽アイゼン(私は4本爪)で頑張って下ると、最後の登りが来る。アーもう本当にきつい。気力、体力はうっすら保ってたが、一番辛かったのはやはり足。限界などとっくに越えているわけで、今はただ転ばないよう注意しているだけ。

コースタイム程度で大丈夫だろうと予想していたカムイ天上までが案外時間を費やした印象。休憩は必須だけど、しゃがんだ途端に巨大な藪蚊の襲撃に見舞われるのには閉口だ。
短縮コース分岐を過ぎて暫くしたら、前方にあられ、コマちゃん、他1名が出迎えに来てくれていた。彼女らも別な山を下ってきたところなのに、私達の縦走を支えてくださって、本当にありがたかった。
こうして命からがらの2日目も、18:09ようやく終了。なんとまぁ、14時も歩いてたのね。人間やればできるって本当かも。

北海道は、よそではなかなか見られない本当の大自然、特にお花畑に感動せずにはいられない。私は「アルプスの少女ハイジ」を彷彿し、まいまいは「あの世」と表現したが、思うことは人それぞれだが感動することは間違いない。
また、この縦走コースは本来2泊3日でするのが標準だ。今回は天気が良かったから成立しただけのこと。コースそのものは大いに勧めるが、必ず2泊3日で計画していただくことを切に願う。

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