メンバー CL よちろう,SL しのぶちゃん
コースタイム
1日目7:20立山駅→8:55室堂→13:00 剱沢キャンプ場
2日目3:10 剣沢キャンプ場→4:35 長次郎谷出合→9:00 ⅤⅥのコル→13:20 八ツ峰の頭
→16:00 剱岳→19:50 剣沢キャンプ場
3日目7:40剱沢キャンプ場→11:10 室堂
今回は一緒に山師匠も行く予定だったが、体調不良になってしまい急遽キャンセルとなった。頼りにしていたメンバーがいなくなって不安を抱えた山行となった。当初は八ツ峰の頭付近にあるクレオパトラニードルにも登る予定であったが、もっとも経験がある山師匠がいないので危険と判断して外した。
1日目
前夜に立山駅に車で到着し仮眠した。早めに起床し、持っていく装備を見直した。サブザックを置いて、クイックドローとカムを少なくした。ロープは50mを2本か1本で迷ったが懸垂下降の高さが25m以上あるかどうか不安だったので2本持っていくこととした。
少し早めに立山駅に到着すると合宿Bコッシーパーティのメンバーもいてあいさつする。どうやら、一本早い便で向かうとのこと。いよいよ、少し待ってから僕たちも室堂へ向かう。バスの中では爆睡してしまった。室堂へ着いたらすぐに山行の準備をして出発する。天気も良く観光地を歩きながらのハイキングを楽しみながら雷鳥沢へ到着。いつもなら剣御前小屋まで直登をするが今回は室堂乗越を経由して行く。少し大回りになるが登る高度は変わらないので傾斜は緩やかで楽なはずとの見立てであった。確かにこちらの方が人が少なく登りでは楽かもしれない。景色を楽しみながら登っていくと剣御前小屋に到着。あとは剣沢へ下っていく。
剱沢へ着いた後、長次郎出合まで偵察に行くことにした。午後から天気が悪くなるとの予報があったので正直迷ったが、雪渓の状態が悪いとの情報もあったので真面目に見に行くことにした。しばらく下っていくと、合宿Bコッシーパーティとまた出会った。こちらも偵察とのこと。雪渓へ降りる場所の目印をつけていてくれた。雪渓を下り続けて、源次郎尾根の取付きを越えてしばらく行くと長次郎出合に到着。思ったより雪渓の状態が悪い。右岸から渡れそうだったので進んでみると雪渓の下をくぐればなんとか行けそうだった。暗いうちにここを通過することは無理だと判断して、翌日の出発する時間を調整することにする。多分4:30くらいには明るくなると思う。長次郎雪渓出合から剱沢までの登り返し中に雨が降ってきた。ずぶ濡れになりながらテントに帰って濡れた衣服を干した。テントの中でガスを焚いて乾燥室化してできるだけ衣服を乾かした。そのあと夕食をとって就寝。明日に備える。
2日目
朝は2:00に起床。朝食は道中で摂ることして3:10に出発。剱澤小屋で夏合宿Bうめパーティと出会う。昨日偵察した道を下って、目印から雪渓に降りて長次郎出合に向かう。長次郎出合に着いたところではまだ暗かったので明るくなるのを待つ。ここからが本番。右岸側から昨日偵察したところまで行き、雪渓の下をくぐった。そこからあと少しで行けると思ったが早速通過が困難なところに出てしまった。後続のパーティはなんと左岸を通っていてサクサク進んでいる。しまったと思いながらしのぶちゃんと相談して、しのぶちゃんの発案で通過が難しいところを高巻きしていくこととする。ここでロープを出してしのぶちゃんが登っていく。高巻きしても行けるかどうか不安であったが、登ってみると案外通過できた。ここから左岸側が行けそうだったので行ってみる。ここは土と石のぐずぐずしたルートで先行したしのぶちゃんが登り始めると石が落ちてきた。危ないと思って陰に隠れてやり過ごしていると、そのうち人の体くらいの大きさの石が落ちてきて肝を冷やした。しのぶちゃんと互いの無事を確認しあい、ここからは登るのは無理と考えて右岸側へ移動して、行けそうなところから行ってみると何とか行けた。はじめからこちらに行っていれば怖い思いをしなかったのにと思う。今日は判断がことごとく外れる。その後はひたすら雪渓を登っていくが雪渓の状態は悪い。いくつかクレバスがあり、飛び越える必要があった。また、雪渓中盤では雪渓が完全に無くなっていて、右岸側から巻いていった。雪渓と岩の間に渡れそうなところがあったがミスると下まで落ちそうだったので怖かった。エスケープルートとして長次郎雪渓を考えていたが、ここを下りで通過するのは難しいと思う。ここまでくると最後まで行くことになると思うとエライところに来てしまったなと思った。ここまででかなり時間がかかり、気力体力も使ってしまったためⅤⅥのコルまでの登りではヘトヘトだった。まだ八ツ峰に取付いていないのにこれからの行程は不安である。
ⅤⅥのコルからの登りはロープを出して、5ピッチほど使った。カムを使って中間支点とし、終了点ごとに区切って短めのピッチをとった。ロープがなくても行けそうだったが、ミスると下まで落ちてしまうので安全策をとった。そのあとは、下まで落ちそうではなかったのでロープを使わずに登った。Cフェースの頭とDフェースの頭で懸垂下降を行った。この時思ったよりも高くなかったのでロープを2本必要なかったと気づいて失敗したなと思った。ここから、Ⅶ峰まで行こうと思ったが間違えて携帯のGPSがOFFになっていて現在位置を見失ってしまった。多分三の窓側へのルートを歩いてしまい、道に迷ってしまった。散々迷った末、登れそうなところを登ってしまい、ちょっとロープが必要そうなところに出た。幸い、ハーケンが打ってあったのでここで支点をとってロープを出した。何とか登り切ったが、ここで詰んでしまう可能性があったと考えると怖くなった。後ろを振り返るとクレオパトラニードルがあり、ここで間違えたことに気づいた。そうこうしながらも元のルートに復帰して八ツ峰の頭に到着した。ここから下が池ノ谷乗越で懸垂下降を2回行う。池ノ谷乗越からの登り返しはかなり急峻に見えて難しそうに見えた。懸垂下降を行って池ノ谷乗越に降りてみるとテント泊している人がいたのであいさつした。水はどうしているのだろうと思ったら、雪渓を溶かしているとのこと。
いよいよ登り返し。しのぶちゃんはここから先は春に来たことがあるとのことだったので頼りになる。登り返しも思ったより楽に登れたが落石してしまった。間違えてガレているところを登ってしまったことが原因であった。足を置くところは要注意。登り切ってしまうと多少楽になり、各ピークもあったが先を急ぐため登らずに進んでいく。最後に懸垂下降ができる箇所があったので今日最後の懸垂下降を行った。剱岳への最後の登り返しだが、ここからは体力が尽きてノロノロ登った。最後に力が尽きて情けないと思いながらやっとのことで剱岳山頂へ到着した。
剱岳山頂は時間が遅かったのか人は誰もいなかった。記念撮影をして下山を開始する。ここまでで疲れ切っていたため進みが悪い。いつもならさっさと通過してしまうところも足取りが重くて進みが悪かった。結局3時間もかかって剣山荘に到着した。途中登り返しがあるたびにため息をつきながらノロノロ歩いた。剣山荘では合宿Bコッシーパーティのメンバーが出迎えてくれた。疲れ切ってふらつきながら歩いていたので、出迎えてもらえてホッとしたし、うれしくて、涙が出そうになった。この時間なのでビールは買えないと思っていたらコッシーからビールの差し入れをもらい、心の底から感謝した。あとは、剣山荘から剱沢までの長いルートをとぼとぼ歩いた。結局20時前にテントへ到着した。疲れ切っていたのでしのぶちゃんとビールで祝杯を挙げて、残った行動食を食べて泥のように眠った。
3日目
前日の疲れから、遅めに起床した。暖かい朝食をとったらかなり回復した。それでも剱御前小屋までの登りは自信がなかったがあとは帰るしかないので、撤収後気合を入れ直して出発。室堂でソフトクリームを食べることを考えると気力も少しわいてくる。何とか剱御前小屋に到着し、長い下りをノロノロ歩いて下って何とか雷鳥沢に到着。そこから階段を上り返す。途中の雷鳥荘でソフトクリームを食べようと思ったが、しのぶちゃんの提案でかき氷を食べることとした。この選択は正解でメチャクチャおいしかった。かき氷を食べたあと室堂へ向かってひたすら歩いた。室堂へ着くとやっと山行が終わった感じがした。今回の山行は今までで最も内容が濃いものだった。それだけに終わったと思うとやり切った感がとても強かった。
今回の山行はいろいろ反省点もあったが前述した通り今までで最も内容の濃い山行だった。訓練や合宿本番を通してかなり経験・技量の面で成長できたと。不安になりながらもパーティメンバーを信頼して自分の力を出し切って全工程をやり切ったことは自信になったし誇らしく思う。