夏合宿初級A 奥穂高岳(3190m)


●メンバー:
CL:おかちゃん SL・渉外:たえちゃん 訓練:メリーさん 食糧L:きょうこ 装備L:キャサリン 食糧:mahomaho 食糧:まき 装備:taka3 配車・記録(岳):yossy 会計・気象:しほ 装備・記録(HP):ハッシー

●天候:
1日目、晴れ。2日目、晴れ。3日目、くもり

●コースタイム:
8月23日(金) 0:00名古屋駅発⇒3:30あんき屋駐車場⇒5:45上高地バスターミナル発⇒8:20徳澤園⇒9:50横尾⇒11:15本谷橋⇒13:30涸沢テント場着
8月24日(土)[奥穂高岳アタック]4:45唐沢テント場発⇒6:00ザイテングラード⇒7:10穂高山荘⇒8:20穂高岳⇒9:40穂高岳山荘⇒11:10ザイテングラード⇒12:30涸沢テント場着
8月25日(日)[北穂高岳中止~下山]5:15涸沢テント場発⇒6:30本谷橋⇒7:30横尾⇒8:30徳澤園⇒11:00上高地バスターミナル着

●所感
まずはじめに。名古屋同志会夏合宿Aの特徴は以下である。①6人用テント2張り、共同装備類を皆で分担して担ぎ、皆で寝食を共にする。②各々ザック荷重平均は15kg~20kg。亀仙人の甲羅とほぼ同じ重さを背負う。③リーダー、食糧、装備の他にも気象担当がいる。ワンピースではナミ、合宿Aではシホ。
 
今回、合宿は初参加メンバーが多く5ヶ月前にキックオフ、3ヶ月前から集中訓練を行った。「3ルンゼ~国見尾根」「乾徳山」「蓼科山」「赤岳」「三ノ沢岳~宝剣岳」と訓練山行を通じて歩荷による体力づくり、岩場歩行技術の向上を図った。また、天候不順時の代替案として南アルプス山岳エリアを起案するなど、念入りに準備をした。順調に進む中、アクシデントが発生した。直前訓練で膝に違和感を覚えたメリーさんが合宿1週間前に無念のリタイアとなってしまった。更には台風による悪天候のため合宿中止の可能性も浮上した。

出発2日前CLおかちゃんから「ガッシュクイコウゼ!」と賽は投げられた。
こうして【涸沢をベースに奥穂高岳、北穂高岳を歩く】と掲げ、我々は当日を迎えた。

【1日目】『涸沢テント場までのんびり行こうぜ』

0:00名古屋駅に10名が集合し、車両2台で出発。一宮JCT付近で雨が降り出したが、高山市内に入る頃には雨は止んでいた。3:30あんき屋駐車場に到着し、共同装備、幕営装備を分担した。若干割高だが現地まで早く、かつ、キャンセル料もないタクシーを利用したのは正解であった。5:45バスターミナルに到着、ベンチはすでに出発準備をする登山客で賑わっていた。恒例のキョーコチェック(ご縁担ぎ)も済ませ、朝霧が漂う幻想的なハイキングコースをクマベル鳴らして陽気に歩んだ。8:20徳澤園に到着し名物のコーヒーソフトを注文した。冷珈(ほろにが)+ソフトクリーム(甘さ)+シナモンパウダー(香ばしさ)のハーモニーはブラボーであった。

出発から3時間半経過。横尾へ到着した頃にはこぞって日陰を求めて休憩をした。横尾橋を渡った先から次第に景色も変わり、左手一面に拡がる屏風岩を眺めながら本谷橋を渡り、暫くすると見晴らしが良い場所に出た。距離にして約50mあるSガレと呼ばれる落石注意エリアである。上を見上げると巨石たちが、「そ~ら転げ落ちてやるぞ」と言わんばかりに待ち構えていた。CLおかちゃんの指示により、隊列間隔を5m空けて駆け抜けた。緊張エリアを通り過ぎると、右手前方に少しずつカールの一部が見え始め涸沢ヒュッテを目視した。見えているのに歩けど近づかない。山あるある。

13:30涸沢テント場に辿り着いた頃には皆が息を切らしていた。小休憩をしたのち、幕営地にベニヤ板を3枚置けるスペースを確保した。涸沢は大きな岩がゴロゴロし、高低差がある場所だ。6人テント(3m幅、六角形)を設営できるスペースは限られていた。末端部分はベニヤ板におさまらず、顔の大きさほどある石を積み上げて平場を確保した。テント設営後、下界から担ぎ上げたビールで一同乾杯した。くうう~と唸る。夜食はきょうこさん旦那様特製スパイスカレーをペロリと完食した。次第に夕焼けに染まっていく北アルプスの山肌を眺めながら、心地よい疲労感を抱き就寝した。

【2日目】『レッツゴー奥穂高岳』

3:00起床。皆の想いが届いたのか、天候は晴れ。朝方は冷えを感じたがテント内は大勢居るため暖かく、シュラフカバーのみで十分であった。また、降雨によりテント末端がペットボトル半分くらい浸水していた。フライシート細引きのテンションが甘く、空間を作っていなかった事が原因であった。

いよいよ、合宿の目玉である奥穂高岳へアタックするのだ。4:45薄暗い中、ヘッデン頼りにテント場を出発した。ザイテングラード手前で防寒着を着た。見上げると前方の穂高連峰が赤く染まり始めモルゲンロートが現れた。カール全体に朱色のカーテンが降りゆく光景に全員が目を奪われた。

6:00第一関門のザイテングラードでは5名ずつ2班に分かれた。奥穂高小屋からの下山者とすれ違い時に危険な場面を目の当たりにした。道を譲った相手が、うぁっと声をあげ、よろめき谷側へ転がったのである。運良くハイマツがネット代わりになり、谷に転落することはなく我々は安堵した。また、梯子手前で谷側をすり抜けようとした下山者が鎖から手を離した瞬間、手首に掛けていたストックが身体にひっかかり転落しそうになった。本人は平然としていたがこちらの寿命が縮んだ。

ヒヤリハットが多発したザイテングラードを無事通過したあたりで、キャサリンから思いがけない一言が発せられた。「え、さっきのザイテングラードだったの?」いつのまにか核心を通りすぎていたようだ。山あるある。7:10穂高岳山荘に到着。眼の前に立ちはだかる岩壁に一同息を呑んだ。三点支持、声掛けをしながら慎重、かつ、夢中で登った。

8:20 奥穂高岳登頂。目が開けれないほどの陽射しと青空、マブイがね~。あれがジャンダルム?ギザギザだがね~。あそこは槍ヶ岳?トッキントッキンだがね~。あれは富士山?こっちの方が高くみえるがね~。山頂から見える雄大なパノラマ景色を目に焼き付けた。9:40来た道を慎重に戻り、奥穂高山荘に到着。緊張から解き放たれ、昼食を取るため一同は涸沢を目指し下山を開始した。ザイテングラードを抜け、雪渓を目指してパノラマコースで迂回した。道は広く平滑な石を階段状に積み重ね整備されており、昼食を楽しむ猿の群れに出会うことができた。テント場に到着し、午後からはゆったりメリーさんから頂いた焼酎とカードゲームを愉しんだ。

たえちゃんがUnoコールを間違えて「ポニョッ!」とコールした際には皆が大笑いした。夕食は山小屋で注文したラーメンに煮玉子とメンマをトッピングし、特製ラーメンとした。一瞬でズブ濡れになるほどの篠突く雨がテント場一面の視界を白く霞ませ、テント内の浸水に怯えながら二日目の夜を迎えた。

【3日目】『北穂高岳はまたの機会。雨が降る前に下山ナリ』

3:30起床すると未明の空に北穂高岳の輪郭が浮き上がっていた。しかし、本日は天候悪化予報のため、北穂高岳アタックは見送りテントを撤収し下山を開始した。

5:15名残惜しみながら涸沢テント場出発。濡れた足元にスリップしないよう丁寧に足場を選んだ。初日には枯れていた沢は細流となっており、幾度か振り返りながら涸沢の雪渓に別れを告げた。11:00河童橋に到着し、皆がホッとひといき着いた時、サプライズゲスト(ミンナダイスキ!ノリキヨさん)の登場で皆が沸き立った。笑顔で記念撮影、終始笑いの耐えない3日間であった。

最後に、達成感と連帯感、そして何よりも皆が自身の可能性を拡げる機会となったと感じる。サポート頂いた同士会の諸先輩方、無念のリタイアとなったメリーさん、ノリキヨさん、多くの方に支えられ感謝の尽きない夏合宿であった。

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