白馬岳主稜(2,932m)


白馬岳主稜(2,932m)
2017年5月4日~5日
自主山行
メンバー CL:ゆきむしSL:ハチオ メンバー:アキ、ひーちゃん(記)
コースタイム
5/4 猿倉5:20 - 6:40白馬尻7:10 - 10:00八峰 - 14:00四峰 - 15:00三峰直下平坦地(幕営)
5/5 四峰5:30 - 7:00二峰 - 8:00白馬岳8:40 - 11:30白馬尻11:50 - 12:30猿倉

早朝から、猿倉の駐車場はほぼ満車…BCの方がほとんどか。締まった雪のなだらかな道を白馬尻まで歩く。テントは少し上との2箇所に3~4張ずつ張ってあった。目の前にどーんと白馬岳がせまり、白馬尻でテン泊した人たちが主稜への尾根を登っていた。
各自ビーコンのスイッチを入れ、ゆきむしが信号のチェックをした。その他装備をすべて身に付ける。全員のザックにはスノーバー・プローブ・スコップがささっている。豪雪地帯だ、荷物は重いが安心感も大きい。
すぐに斜度はきつくなり、程なくナイフリッジ~雪壁の繰返しとなった。1歩1歩集中しアイゼンを確実に決める。今期訓練した事を頭で確認しながら。八峰~七峰~六峰~、だんだん雪が深まると同時に、好天により雪はゆるくなりつぼ足は踏み抜き、キックステップにも緊張が増す。爪を十分にかけ踏み込む、しかしぐずぐずの雪の棚を崩さない強さでの蹴りこみが必要であった。昼近くなると、点発生湿雪雪崩が発生し、向かい側には岩と一緒に雪崩れる茶色の筋も延びていた。時折雪が切れ落ち緊張して跨いではよじ登った。声をかけあい慎重に登っていたが、一瞬すべり数十センチ踏み抜いたアキの足元に雪が落ちた。雪は片足を膝まで埋めただけであるが、足はびくとも動かなかった。私は安全な場所に登り、ハチオとゆきむしが足を掘り出した。翌日の下山では大雪渓で私の片足が踏み抜き同じ状態になった。少しの雪に見えてもびくとも動かない状況に雪の怖さを少し知る事となった。
予定より少し先まで進み、三峰直下で幕営した。掘り下げると4テンがいい感じに収まった。振り返ると、雪庇のぎりぎり手前を自分たちの踏跡が続いていた。おしゃれな洋食ディナーをいただいた頃にはあたりは真っ白だった。
大雪渓をなるべく早く通過するため早朝に出発した。雪は硬く締まっていたが、数センチ下はぐずぐずのままだった。二峰ではまずハチオが少し左の岩に打たれたハーケン2個で確保しロープを出した。フリーで急な雪壁を繰返し登っていたので、ロープを縛るとホッとした。頂上の雪庇越しに小屋から登ってきた数名の方が身を乗り出してこちらを見ていた。間近に会話も聞こえた。あと少しで頂上だ。
最期のピッチは私にはほとんど垂直の壁に感じた…実際は65度位との事。右にトラバースぎみに進み、途中スノーバーで支点を取り濃い青空越しに最期の雪庇を乗越すハチオをビレイしている瞬間、深い感動を覚えた。気合を入れて後に続いた。スノーバーを回収し、アックスを突き刺し、4点に体重を分散してバランスを取り次の足をあげる。今まで訓練してきたことを全部使いながら最期の雪庇を乗越し、スタンディングアックスビレイをしていたハチオとハイタッチ!ゆきむしが乗越す頃には空は真っ白だった。BCエキスパートのゆきむしはスコップのブレードを埋めてアキをビレイした。アキは“がんばれ”と自分を励ましながら慎重に登ってきた。ガスで景色は無かったが、メレンゲのクッキーが連なっているようなどこまでも続く稜線を歩いてきたと思うと
山頂で記念写真を撮り、白馬山荘で大休憩し大雪渓へと急いだ。途中合宿Cのみんながいる剣岳北方稜線が神々しく見えた。大雪渓の下のほうはぐずぐずでかなり歩きにくかった。数日前の大きいデブリの横は手を合わせて通り過ぎた。白馬尻手前でも、昨日は無かった大きなデブリがテン場少し前まで伸びていた。今回はエキスパート2名のお陰で安心して挑めた山行だった。今登った稜線を振り返りながら、もっとしっかり技術や知識を深め自分で責任をもって登れるようになりたいと思った。

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