鳥海山(2,236m)


鳥海山(2,236m)
2019年9月15日(14日及び16日:移動及び観光)
天気: 晴天
メンバー:隊長(CL)、まささん(SL)、ともたん、よちろう、のりっく(記)
 
【9/15(日) コースタイム】
5:00 鉾立ビジターセンター出発 →6:35賽の河原 →7:30御浜小屋(7:45出発) →8:20七五三掛け →10:10 鳥海山新山登頂(ランチ休憩⇒10:50出発) →12:05七五三掛け →13:15御浜小屋(13:30出発) →14:40下山完了
 
【記録】
 9月の3連休を利用した、「Jeep Wranglerで行く!鳥海山&山形観光の旅!」が今回のテーマである。秋雨前線全開の時期にもかかわらず、3日間とも好天に恵まれた。9月半ばの東北はまだまだ汗ばむほどの陽気であった。
 旅の全行程はこうである。9/13(金)22時に名古屋を出発。男性陣3名に交代で夜通し運転してもらいながら9時間走り続け、14(土)朝7時に酒田市内に到着。その日は徹夜のまま酒田市内を観光し、夕方に秋田県にかほ市の三崎公園キャンプ場へ移動。テントを設営し、日帰り温泉でひとっ風呂浴びて宴会をし、床に就いた。翌朝は早起きして、主目的である鳥海山に登頂した。16(月)は朝9:30に三崎公園キャンプ場を出発し、帰路、新潟市西浦区のわらアートまつりに立ち寄りながら、22:30に帰名した。
下記に、9/15(日) 鳥海山に関する記録を残す。
 
9/15(日) 3:00起床。日帰り山行の身支度を整え、4:00三崎公園キャンプ場を出発し、4:30登山口である鉾立ビジターセンターに到着した。日の出にはまだ間があり、辺りは薄暗い。登山地図上では水場マークが確認できるが、小屋の管理人によると、出発後はここの自販機以外水場がないとのこと。1ℓ分のペットボトルを慌てて調達し、予定通り、5:00に出発した。歩き出して10分もしないうちに、展望台に到着。秋のうろこ雲が朝焼けに染まりだした。幻想的で美しい…。シャッターを押す間にも、暗い朱色から明るいオレンジ色へと、刻々と空の色が変わっていった。憧憬の鳥海山の山頂に向けての旅のはじまりだ。
登山の魅力にとりつかれ、まだ2年弱。近隣の山でまだまだ登らなくてはならない山、名称すら知らない山は星の数ほどあるのに、こんなに早く東北の百名山に登る機会が巡ってくるなんて、身に余る幸運である。たしか、呼ばれてもいない山行部の宴会に乱入した時に鳥海山の話が出て、ふてぶてしく「私も行きます!」と手を挙げたのだ。あの時のふてぶてしい自分が誇らしい。東海地方やアルプスの山々とはどう違うのだろう?小さな胸も期待で膨らむ気がした。
ヘッデンを外し、再び歩き出す。歩き出しの気温は12℃で、少し肌寒いが適温である。清々しい山行になる予感しかなかった。登山道は石畳が敷かれキレイに整備されており、非常に歩きやすい。ジモティと思しき多くの登山客と会ったが、さぞ地元の登山客に愛されているだろう山だろうと思った。賽の河原までは尾根筋ながら緩やかな灌木帯を進んでいく。視界のない樹林帯と異なり、歩き出しから山形の広大な風景を眺めることができる。鳥海山の姿は裾広がりで、懐の深さを感じる山だ。一方、山頂付近は切り立った岩稜が密集しゴツゴツとしている。独立峰の特性か、今日も到着した前日も、山頂付近は雲がかかっており、山頂の様子を拝むことはできなかった。山頂で雲が晴れることを期待した。
 りんどうの花、紅花イチゴ、ブルーベリーにも癒された。紅花イチゴはまだ十分に熟れておらず酸っぱかった。6:35賽の河原に到着。そこから尾根筋を更に上がると、北東側にふっと視界が開け、稲倉岳と、その向こうに田園と日本海と風車が飛び込んできた。北アルプスでは見られない光景である。賽の河原から御浜小屋までのコースタイムは30分であるが、のんびり歩きすぎて、45分遅れとなった。御浜小屋の南側に輝く鳥海湖を臨みつつ、隊長とは一旦ここでお別れし、残りの4名で鳥海山の山頂を目指すこととなった。
 ともたんとよちろうさんは、夏合宿で親交を深め、息がぴったりだった。とりわけ夏合宿で力をつけたともたんは、合宿の成果を見せるぞと息巻き、一気にペースを上げた。隊長からは、どういう道で、どういう風景で、どういう空で、どういう花が咲いていて、東海地方の山とどう違うのか、五感を研ぎ澄ませて違いを感じてくるのよ、ただ歩くだけじゃだめよ、アンタたち!!と釘を刺されていたが、4人ともそんな忠告は吹っ飛び、夢中で歩いていた。ガンガン歩きたい気分の時もある。しかし、これだけ良い気候で、滅多に来られない山を力いっぱい歩くのはもったいない気もした。もっとゆったりと景色を堪能したかったなぁというのが少し心残りだ。
御田ヶ原分岐に向けて一旦高度を下げるとコルになっている。トラバースを抜け、8:20七五三掛け(しめかけ)に到着した。外輪山・千蛇谷分岐では左に逸れ、新山への道に向かう。更に下ると、眼下に水溜まりが見えたが、その向こうには雲が晴れて険しい鳥海山の山頂が露わになっていた。ここを一気に登り返すのか…。ここから等高線が狭くなってくるがペースは変わらず、呼吸の乱れを感じながら、9:40頃山頂麓の大物忌神社に到着した。参拝してパーティ全員の安全登山を祈願する。山頂まではあと少し。それまでの緑豊かな風景とは一変して、ここからは大きな岩がひしめく岩稜帯である。浮石も多く慎重な歩行が必要だが、岩と岩の間をくぐるポイントがあるなど、アスレチック感があって楽しめた。
10:10鳥海山新山登頂。狭い山頂は渋滞しており、さっさと記念撮影を済ませて、ランチが取れる場所まで下山することにした。残念ながらガスっており、山頂からの景色は望むことができなかった。大物忌神社の裏側に降り、軽くランチ休憩を取って10:50に出発した。下りは、行者岳、伏拝岳、文殊岳を周回するコースで下山した。地図上では岩場マークがあったが、実際には岩稜帯の上を歩くわけではなく歩きやすい登山道で、岩稜帯はその右手にあるだけであった。山頂のガスは暫く晴れなかったので景色は楽しめず、ペースを上げて下山した。高度を下げると霧は晴れ、広大で肥沃な大地が再び眼前に広がった。12時すぎに七五三掛けに戻ると、気持ちよさそうに尺八(オーボエかも?)を奏でる人がいた。普段聞かない音楽だけど、BGMがあるだけで癒されるね、とまささんが一言。御田ヶ原分岐では往路とは異なり、鳥海湖を周回して御浜小屋に戻るコースに進んだ。鳥海湖をぐるりと回り、力を振り絞って最後の急登を上がると、隊長が鳥海湖の上で待ってくれていた。後光が差し、(一瞬だが)菩薩に見えた。長時間待ってくれていた隊長に御礼を述べ、軽く休憩を取り、ビジターセンターを目指した。下りは速く、1時間の道のりだ。しかし登りは有難く感じた石畳の道が、下りでは疲れた足の裏に鋭く響いた。隊長からも、石畳を下るときは膝に負担がかからないようそっと足運びをするよう、ご指導いただいた。9時間半の全行程をよく歩き、14:40に下山した。
下山後、道の駅「ねむの丘」で汗を流し、道の駅とマックスバリュー武道島店で食材を調達。テン場に戻った時には日が暮れていたが、ヘッデンを点けなら全員でてきぱきと調理をし、地酒「鳥海山」で乾杯した。唯一の心残りは、せっかく日本海に沈む夕日が見れる岬のキャンプ場を選んだにもかかわらず、5名とも食と酒に夢中で、日没を拝むチャンスを2日間とも見逃したことだ。滅多に登れる山ではないが、もしまた機会があれば、その時には山頂からの絶景と併せて、悲願を達成したい。それにしても、賑やかな仲間と過ごした、最高の3日間の旅であった。

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