西穂高岳(2,909m)北西尾根


西穂高岳(2,909m)北西尾根
(新穂高~穂高平~西穂北西尾根~JP(2700mで幕営)~山頂~西穂山荘~ロープウェイ~新穂高)
自主山行
2018年3月24日~25日
CL食糧車:コッシー SL記録:グッサン 会計:ひろさん

昨年4月に春合宿剱岳北方稜線の訓練で西穂高岳 西尾根に行ってきた。西尾根に行く際、隣に北西尾根というマイナーな尾根があることを知りずっと気になっていて、昨年12月末に廣さんと二人で計画してみたが荒天で行けなかった。今回、春合宿「硫黄尾根」の訓練を兼ね、北西尾根へ再度チャレンジ。去年の西尾根は 山師匠、ひろさん、コッシ、私の4名で行ったが、今回は残念ながら塚さんは行けず、残りの3名で行ってきた。

3月24日土曜(晴れ→夜暴風雪)
私は1週間ほど前からインフルエンザにかかり、3日前まで寝込んでいて、体調がすぐれない。20k以上の重装備で3000mの冬山バリエーションに登るモチベーションも沸いて来ず、荒天になって中止にならないかとも思っていたが、前日までの雨雪は一変し山行実施日の3/24、25は晴れマーク。積雪期しか入れない場所なので今回を逃すとまた1年先になってしまうため、気持ちを奮い立たせて準備をする。

本調子とは程遠い体調ながら当日を向かえ、3時に名古屋発。西穂山荘まで行くもっちゃんも同乗し、交代で運転しながら6時に新穂高駐車場着。多くの登山客の車が停まっていた。新穂 の駐車場で槍ヶ岳に行く、ひでさんと会うことができ、蒲田川右俣を途中まで一緒に進み穂高平小屋で一本立てる。 涸沢岳西尾根、奥穂、ジャンが真っ白に光っている。 昨日までの雨のせいか雪が硬く締まっていて、とても歩きやすい。風も無く天気もいい。

柳谷にかかる橋を超えた所が北西尾根の末端である(高度1450m)。記録を調べると北西尾根に取り付くのには4パターンほどあるようであるが、周辺をうろうろし一番登りやすそうな最末端から急斜面に取り付く。2000mほどまではずっと急斜面の樹林帯で雪は締まっていて歩きやすいが、硬い雪の急斜面ゆえふくらはぎが痛くなる。こっし、ひろさんとも途中足が攣り、特にひろさんは寝不足からか調子が悪そうで遅れ気味である。2000mを過ぎると急に雪が柔らかくなり、はまりまくるのでワカンを装着する。おそらく2000m以下では昨日までは雨であったのが2000mより上は雪であったのだろう。ラッセルが始まりペースが落ちたが、13:00には樹林帯最後の当初予定していた幕営適地(2450m)に到着する。この先テントは西尾根とのJPの先(2700m)に張っていた記録があったため、時間も早かったためそこまで前進することにする。多く見積もっても2時間かかからないであろうと高を括っていた。

森林限界をすぐ、出て急な第一岩稜に出くわす。ふわふわの雪のためワカンをつけたままやり過ごすが、岩、木が雪で隠れていてワカンは効かず危険であった。途中アイゼンに切り替え、かなり体力を消耗しながらずっと急斜面のナイフリッジを進む。
無我夢中で進んでおり、気が付いたら確保もせず、ほぼ垂直に近い、雪壁の中間地点まで来てしまっていた。雪壁の左は立ったセッピ。右は垂直な壁。昨日の降雪が垂直な壁に30cmほど付いており、コッシから危ないからやめよう の声に我に返る。足元の柔らかい雪を落とすと、完全にオーバーハングしているような斜度。足をすべらせば何百mも滑落間違いないような場所である。全員5mほどクライムダウンし、立ち木の横に狭い足場を作る。セルフをとりロープを繋ぎ廣さんに空荷で再度雪壁に登ってもらい、何とか核心を越える。確保はスタンディングアックスで行う。地形図で見るとおそらく2550mの細いリッジ上の箇所だと思う。安定している雪ならなんてことは無い場所だと思うが、かなりの危険箇所であった。私は雪壁を登る際、ずっと左手を雪の中に手をつっこんでいたため、左手先の感覚がおかしくなってしまった。下山後の現在も左手中指と薬指の先端の感覚が、ぴりぴりして、感覚もかなりおかしい。

核心を超えるのに1時間以上かかり時刻は15:30を回っていた。そこから先も不気味な急で危険な稜線(ナイフリッジ)が延々と伸びていて、気温もドンドン下がってくる。一難去ってまた一難ではなく、一難去ってずっと多難って感じで気持ちが落ち込む。雪もふかふか、さらさらでステップもうまく作れない。
高度を上げるに従い、隣の西尾根が接近してきて、JPが近いことがわかる。
16:30を過ぎてもひたすら危険地帯を脱出できず一歩一歩緊張しながら進でいる。途中風と低温で右目が凍りつき、右目がぼやけて見えなくなってしまったが、休むような所も無く、左目だけでがんばって進む。セッピと空中の境界線が見えづらい。
17:00にようやくJP手前にでて、最後のナイフリッジを落ちないように進み、なんとかJPに到着。目標としていた幕営地はあと30分ほど先であったが、なんとか4テンをはるスペースを整地しテント設営する。なんと2450mの樹林帯のテンバから250mあがるのに4時間も要した。目の前には涸沢岳、奥穂、ジャン、天狗岳、間ノ岳、西穂と目の前に見える素晴らしいロケーションであるが風の通り道であった。
テントに入り、生きた心地がしなかった緊張を解きほぐし、食当のコッシが用意してくれたビールを1杯づつ飲み、ガソリンストーブで水を作り、餃子ラーメンを頂く。いつものノンベーの集まりなのでそれぞれお酒やら焼酎やり持ち込んだが、みんな体調不調で酒が進まない。食事の片づけ中、ガスカートリッジからヘッドを外す際、少し漏れたガスにガソリンストーブの火がついてしまい、コッシーの下半身が炎に囲まれ慌てたが幸いすぐ消えた。クワバラクワバラ。こんな所でテントが燃えてしまったが命が無くなる。みんな気をつけよう。

スマホで天気予報をみると、夜雪、明日晴れで強風といなっている。西穂へはあと高度差200mであるが、ここからも際どい核心が続く。果たして明日いけるだろうか?ここからの下山も検討したが、あの危険な雪壁を何百メートルも降りるのよりは、西穂まで登ってしまったほうがリスクは低いとか、場合によっては停滞だなとか、いろいろ考えながら21:00就寝。

3月25日日曜(暴風雪→晴(強風)→ 晴)
夜間寒くて何度も目が覚める。相当風が強くテントがバタバタうるさい。横殴りの雪がずっと降っていた。テントの内張りは霜がびっしりついていて、風でテントがゆれる度に霜がバラバラと降ってくる。テントの風上側は降雪でテントが狭くなっている。
外をみてみると、うっすらと西穂方面は見え、視界はいいようだ。30cm程度の降雪があったようだ。風が強すぎてもの目の前で凄い雪煙が渦を巻いている。不安定な雪に強風での滑落リスクが高すぎて、とても出発は出来ない。天気予報は午後から風は落ち着いてくるとの事。とりあえず朝食をとり、テント内で横になっていたら8時過ぎに西尾根から8人ほどのパーティが上がってきた。少し会話したところ神戸の山岳会で、JPの現在地のあたりから急に風雪が強くなったとの事。我々のテントの横で暫く休憩し、やばいなーって言いながら出発して行った。我々も意を決しテントを撤収しだす。狭いナイフリッジに整地したテンバなので撤収時も滑落に気をつける。
凄い風なので常に二人がかりでテントを押さえてないと飛んでいってしまう。何とか撤収し8:30に出発。
先行する8人組みのお陰でトレースが出来、使わして貰う。昨日の北西尾根は我々しかいなかったため全てノートレースで進んだので、ありがたかった。
ただ、風が強く、前が見えないほどの雪煙が舞っていて地形によってはものの数秒でトレースは消えてしまう状況。今回はこんな天候になるとは想定できず、ゴーグルを持たずサングラスのみで来てしまい、サングラスの内側にも雪(氷の粒)が舞い込み、痛くて全く目が開けられない。その場に留まっていても同じなので、数秒に1回瞬間的に目を開き地形を覚え進む、というような危険なことをして、第二岩稜を乗り切った。雪煙が凄いが、青空がでていて視界があり山頂も見えるため、「あと少しで抜けれる、滑落しませんよーに」と念じながらじわりじわりと進む。
昨年は岩が露出していて簡単であった最後の長い岩場も、雪に覆われていて体力を消耗しつつ、ようやく山頂へ到着(10:15)。一気に緊張の糸がほぐれた。良く3名とも無事に登頂できたものだ。快晴の青空の中、ジャンダルムや明神が目の前に見える。遠くには真っ白な白山、八ヶ岳、南アルプス等もくっきり見え、疲れが癒される。

少し休憩してすぐ下山。あれほど強かった風も予報どおり、だんだん収まってきて、ピラミッドピーク、独標と降りていくうちに、先程までの地獄はなんだったんだ?と言うような、ぽかぽか陽気の春山状態となった。
西穂山荘に12:00に到着。もっちゃんが待っていてくれ、無事の再開を祝う。
気力、体力ともかなり消耗していたが1時間ほど山荘で休み、ロープウェイで下山。平湯の温泉に入り帰名。

3/24

3/25

COMMENTS

    山田 義次

    初めまして!
    山行記録楽しみにしておりました。
    山田と申します。
    実は、ロープウェイで隣になりもっちゃんさんと西穂山荘テン場までご一緒させて頂いた者です。
    無事踏破おめでとう御座います。初心者の私はただただ凄いなと驚きながら拝見させて頂きました。
    もっちゃんさんには、ロープウェイから一緒になりルートのお話や山のお話、冬山の装備など勉強させて頂きまた。また山岳会の話など道中お聞きしながら大変お世話になりました。本当は皆様が下山してくるまで部外者ながらお待ちして居たかったのですが、25日少し先に下山させていただきました。
    またいつかお会い出来る日楽しみにしております。

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